8月24日に摂津市立中学3校の美術部27名が合同で来館されました。
以前も、摂津市立中学校の美術部が集まって交流するきっかけにしたいと、代表の先生からご相談いただき、今年の3月にも合同鑑賞会を実施しました。(※1)2回目となる今回は、冒頭のオリエンテーションで2~3年生に前回の「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」や「コレクション2 特集展示:メル・ボックナー」を思い出してもらいながら、1年生や初めて来館した生徒に向けて当館の成り立ちや建物について、全体に向けてこれから見る展覧会について紹介しました。今回鑑賞する作品がスクリーンに映し出されると、前回見たピカソの絵画とはかけ離れていたせいか、「なんだろう?」と首をかしげ、友達とお話しする様子もありました。
今回は鑑賞サポートツールの『アクティヴィティ・ブック』(※2)を用いて鑑賞しました。展示室に行く前に、代表の先生から、地下3階で開催されている「ホーム・スイート・ホーム」展では作品をスケッチして、気になるポイントを書くアクティヴィティ「07 気になるもの」、地下2階で開催されている「コレクション1 80/90/00/10」展(以下、コレクション展)では展示室で見つけた「いちばん〇〇な作品」をスケッチするアクティヴィティ「03 いちばん!」に取り組むこと、他校の生徒と少しでも交流するため、自分が気になった作品の前で立ち止まっている生徒を見かけたら話しかけてみることが伝えられました。
「ホーム・スイート・ホーム」展では、鎌田友介《Japanese Houses》(2023年)の空間全体を使ったインスタレーション作品を見て、「(この前の展示で見た)ピカソと全然違う!インパクトある!」と衝撃を受けている生徒がいました。日本家屋を題材とするインスタレーションの中に展示された複数の写真、映像を友達と小声で話しながらゆっくり見ていました。潘逸舟《ほうれん草たちが日本語で夢を見た日》(2020年)の部屋では、床に並んだ段ボールを1点1点確認し、「野菜の段ボールが多いなと思ったけど、それだけじゃない。りんごの箱もある」と同じ段ボールでも異なるものが入っていた段ボールであることに気づく姿もありました。竹村京の部屋では、作品キャプションを見て、「『入ってもよろしいですか』ってタイトルなの?」と、問いかけがタイトルになっていることに驚き、そこから再度作品を鑑賞していました。
コレクション展では、マーク・マンダース《乾いた土の頭部》(2015-16年)を少し離れた場所から見て、顔が半分に切られたような形が気になったのか、手を斜めに傾けて断面を表現する生徒がいました。先生から、使われている素材はブロンズだけだと聞くと、とても驚き、信じられないと近づいて見て回りました。スタッフから「顔以外に何が見える?」と聞かれると「ロープと木。裏にブロックみたいなものがある。ブロックを押し込んで全体を支えているのかな?」と全体の構造を把握しようとしていました。長い時間眺めても、顔も含めロープやブロック等、見えているもの全てがブロンズでできているとはどうしても信じられず、最後まで自分の目で見て捉えたことと作品の素材が一致せず戸惑っていました。
他にも、マイク・ケリーの「カンドール」シリーズ(2007-09年)を見て、素材は何か観察している生徒もいました。シリーズ作品4点を見比べて、少しずつ形状が異なっていたり、高い台に展示されていることから、作品を展示する高さにも作家の意図があるのではないかと考えたりした後、「美術館に来たのは初めてだけど、こうして見るのが楽しい」と制作の工夫やアイディアを発見する喜びを話していました。普段から自分で制作する美術部のみなさんだからこそ、作品を見ながら細かい点にたくさん気づくことができたのだと思います。今回の鑑賞体験が、今後の制作にもつながっていくととても嬉しいです。
摂津市立中学校美術部のみなさん、ご来館ありがとうございました。またのご来館お待ちしています。[S.S]


