国立国際美術館

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島敦彦

©中乃波木

就任の挨拶

島敦彦

 山梨俊夫前館長からこのたびバトンを渡され、国立国際美術館の館長に就任することになりました。同館の元職員であったとはいえ、館長にというお話をいただいた時は、大変驚くと同時に、この私で務まるのか不安を感じつつ、身の引き締まる思いでいっぱいです。

 私は、国立国際美術館が吹田市の万博記念公園内にあった1992年以来、通算して約23年、国立国際美術館に勤務しました。その後、愛知県美術館で2年、金沢21世紀美術館で4年、館長を務めましたが、それぞれ特色の異なる美術館のあり方に目を開かれるとともに、かつて所属した国立国際美術館の持ち味を再認識する機会にもなりました。

  新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、世界中の美術館が活動を停止し、人と人が出会うこと、作品とじかに触れ合うことができなくなりました。国立国際美術館もその例外ではなく、展覧会の会期の変更やイベントの中止を余儀なくされました。

 一方で、オンラインの積極的な活用によって、作者や展示立ち合いのクーリエが不在であっても作品輸送に目途がつけば、展覧会を開くことができるようになり、講演会やシンポジウムも、遠方の講師や観客の参加が容易になり、以前よりも視聴者数が増えるという、プラスの側面も開拓されました。また、混雑を避けるために日時指定のWEBチケットが導入されたことで、鑑賞環境の改善にもつながりました。

 しかし、観覧料収入の減少は、美術館の経営状況を悪化させ、特に規模の大きな海外の美術館では職員の一部が解雇されるなど憂慮すべき事態に陥っています。今後もコロナ禍が続けば、美術館活動が縮小、停滞してしまうおそれがあります。また仮に感染症が収束したとしても、集客ありきの展覧会を再開していいのか、適切な鑑賞環境をどう整えていくのか、さまざまな課題に向き合わねばなりません。

  国立国際美術館に隣接して2022年2月に大阪中之島美術館が開館します。大阪と世界の近現代美術を収集、展示する美術館で、極めて長い準備室期間を経て、ようやくオープンします。同館とはこれまで作品の貸し借りやコレクションによる共同企画展を開催して、連携を深めてきましたが、実は小道を挟んで両館をつなぐ橋が架かる予定で、行き来ができるようになります。

 これは物理的な越境ではありますが、「越境」はいろんな意味でこれからの美術館のあり方を考える上で重要な言葉だと感じています。たとえば、展覧会やコレクションにおいて、従来の欧米中心の価値観だけではない多様な考え方に基づいて、国や地域、あるいは分野の越境や横断がますます重要になると思われます。あるいは、女性作家の発掘や活躍を促し、ジェンダー・バランスを念頭に置いて活動することもとても大切です。一方、教育普及という言葉でくくられがちな活動については、主体的な学びの場としての美術館のありかたが改めて模索されているのではないか。立場の弱い方々との協働や美術館との出会いの場を創出することも、美術館が果たすべき課題と考えています。国立国際美術館はそうしたすべての懸け橋になるべきではないかと思っています。

 国立国際美術館が、みんなの美術館として今後も親しまれるよう尽力する次第です。どうぞよろしくお願いします。

2021年4月1日

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