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島敦彦

©中乃波木

国立国際美術館長  島 敦彦

 一昨年から続く新型コロナウイルス感染症は、変異を繰り返して収まる気配がありません。感染拡大に伴い、美術館の休館が相次いだ時期もありましたが、現在は入館時の体温チェックや手指の消毒、鑑賞人数の制限などさまざまな対策を講じて、展覧会が開かれるようになりました。ただ、講演会や各種イベントにおける入場制限はいまなお一部で導入されています。一方、オンラインによる配信は、遠隔地とのやり取りの容易さなどその利便性ゆえに、パンデミックの終息如何にかかわらず、今後ますます活用されることになりそうです。
ところで、感染症への対応に少し慣れてきた矢先の今春、ロシアがウクライナに侵攻し戦争が始まりました。日本も他人事とは言えない世界情勢の中で、欧州と日本との間の美術品輸送にも影響が出始めるなど、予断を許しません。連日の報道に心穏やかではいられませんが、それでも日常生活を営み、美術館活動も継続しなければなりません。

昨年度の展覧会では、「Viva Video!久保田成子展」の開催と国内巡回に尽力した担当4氏が第32回倫雅美術奨励賞(美術評論部門)を共同受賞し、「鷹野隆大 毎日写真1999-2021」展の成果により、鷹野隆大氏が第72回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞するなど、当館で開催した展覧会が高く評価され、注目を集めました。
今年度は、昨年度末に始まった「感覚の領域 今、経験するということ」展とコレクション展「つなぐいのち」を5月22日まで継続し、6月25日から新たなコレクション展を開きますが、その後施設の改修工事による全館休館を挟んで、10月22日から「すべて未知の世界へ―GUTAI 分化と統合」展を開催します。これは、2022年2月2日に開館した大阪中之島美術館との共同企画で、関西の前衛美術集団として国際的に評価されてきた具体美術協会の活動を独自の視点で解明するもので、隣接する両美術館で同時開催します。さらに2023年2月4日より、ベルリンの国立美術館群のひとつであるベルクグリューン美術館所蔵の「ベルクグリューン・コレクション展」(仮称)を開催します。ベルリン生まれの美術商ハインツ・ベルクグリューン氏が集めたピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティを核とした珠玉の名品が一堂に会します。秋から冬にかけてのコレクション展は、近年収蔵した作品も活用しつつ、さまざまなテーマを設定して、どなたにも楽しんでいただけるように努めます。

美術館は大人のためだけではなく、将来を担う子供たちにとっても大切な場所であることは言うまでもありません。また障害のある人たちや何らかの事情で美術館に足を運べない、あるいは運びにくい状況にある方々にとっても、美術館は主体的に活用してもらえる現場であってほしいと願っています。その意味では、コロナ禍においてオンライン配信や相互に音声や映像などをやり取りできる技術が幅広く普及したことは、来館しなくても受け取れる情報が多くなり、双方向にコミュニケーションできる場面を整えることにつながりました。美術館におけるラーニングの可能性を開いたと言ってもいいでしょう。

もちろん、美術館でじかに作品に接する魅力がなくなったわけではありません。実際の作品に向き合った時の喜びや驚きや戸惑い、足を運んだからこそ感じられる臨場感は、美術館の空間に包まれて初めて得られるものです。
今年度もご来場のほど、どうぞよろしくお願いします。

2022年5月

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