近作展25 東島毅

会期:2000年7月27日~9月3日

東島毅(1960−)の絵画は、相対的な絵画論によって浮かび上がる文脈の中で位置づけることを拒否するような、作家の強い衝動を視る者に直接的に伝える強度を包含している。その強靱な絵画空間は、美術が本来備えるべき原初的な力を思い起こさせてくれる。絵画が絵画という言葉を持たなかった遠い昔、人が人以外の動物という絶対的な他者に対して、呪術的な意味と自然に対する畏怖を込めて薄暗い洞窟の奥深くに描きあげた図像はよく知られている。その絶対的な他者との違いを、図らずも顕現した現象が、恐らく美術のようなものだった。人々の奥深くに刻み込まれたそのような記憶、人が人としての意識を重ね始めた頃の微かに疼くような感覚を呼び起こさせる「場」を現出させたのが、東島の絵画である。
東島にそのような絵画を生み出させたのは、日本という閉ざされた社会ではない。大学院修了後、そのムラ社会から逃げ出すようにして渡ったロンドンの英国王立美術学校での体験が東島に大きな衝撃を与えた。知識として流布される「絵画のための絵画」を呪文のように眩くような生動感の欠如した絵画群とは異なり、各個人にとっての必然性を十全に兼ね備えた存在感のある作品群を前に、カンバスと立ち向かう意志を新たにした。
東島は、その後ニューヨークでシュナーベルのアシスタントをつとめながら制作を続け、瀕死的ともいえる絵画の状況に広大なカンバスと伸びやかなイメージによって鮮烈なデビューを飾った。本展では、近年、より深遠な絵画空間を現出した表面の中にも人為性を感じさせない線を立ち上げることによって新しい表現に挑んだ近作を中心に展観し、日本の若手作家の先鋭的な一例を示した。

  • 入場者:総数3,851人(1日平均113人)
  • 主催:国立国際美術館
  • 協賛:(財)ダイキン工業現代美術振興財団
  • 講演会:「作者と語る」日時:08/12(土)
  • ギャラリートーク(展示作品解説):日時:08/26(土)
  • パンフレット:「近作展25 東島毅」
    29.6×21.3cm/6ページ/カラー6点
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