国立国際美術館

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学校団体鑑賞

大阪YMCAインターナショナルハイスクール

2023年7月13日(木)

7月13日に大阪YMCAインターナショナルハイスクールの1~3年生13名が来館されました。

多くの2、3年生は毎年来館していますが、初めて来館した1年生のために冒頭のオリエンテーションで美術館について紹介しながら、これから見る展覧会についてお話ししました。2、3年生の中には、話を聴きながら、以前見た「すべて未知の世界へ ― GUTAI 分化と統合」展や「コレクション2 特集展示:メル・ボックナー」を思い出してくれた生徒もいました。展覧会が変わるごとに来館していただけているからこそ、鑑賞した時の記憶が増え、美術館での体験が積み重なっていることを実感します。

オリエンテーション後は、展示室で『アクティヴィティ・ブック』(2007年度版※)のフリーページに気になったことをメモしながら、気に入った作品を撮影しました。まずは地下3階で開催されている「ホーム・スイート・ホーム」展へ向かい、各々のペースで鑑賞しました。ある生徒は、竹村京《洗濯機の事故》(2000年)の前で立ち止まって「何をしているんだろう?」と映像を食い入るように見つめていました。刺繍を用いた《E.K.のために》(2015年)の前では、顔の部分が右と左とで異なることに気づき、友達と右半分の女性の頭の形について話す姿もありました。一人ひとりが注目する作家も異なっていて、アンドロ・ウェクアの展示室では、《窓》(2010年)の前でたたずむ生徒もいました。展示室の壁一面が黒く、通路から正面に見える位置に身長を超える大きさの窓が立てかけられている展示から、異様な存在感を感じ取ったのか、その窓にどんな意味があるのか考えているようでした。

続いて地下2階で開催されている「コレクション1 80/90/00/10」展でも、気になる作品の前で立ち止まって観察している様子が見られました。須田悦弘《雑草》(2006年)は、床にはめ込まれた状態でひっそりと展示されていて、気づかずに過ぎ去っていく人も多い作品ですが、この作品の中にある葉が本物かどうか確かめるように、長い時間見ていた生徒がいました。彼は別の場所に展示されている須田悦弘《バラ》(2006年)にもすぐに気づいていました。《バラ》も注意しなければ通り過ぎてしまう場所に控えめに、そして目線からずいぶん高い位置に展示されています。思いもよらない場所に展示されている作品を探したり、鑑賞したりする中で鑑賞者は作品と共に空間そのものも眺めることになります。スタッフから須田悦弘の作品《チューリップ》(2006年)が同じフロアにもう1点あると聞き、さきほどの生徒が探していると、他の生徒も気になったのか一緒に探し始め、誰もが必ず通過している意外な場所に展示されていることに驚きながら、全員で須田作品3点を見つけることができました。作品を発見した時には、それぞれ気になる部分を指さしながら「かっこいい!」と伝え合っていました。木彫の精緻な表現だけではなく、空間そのものと一体化した作品を楽しんでいただけたのではないでしょうか。

今回しか出会えない企画展、これからまた出会えるかもしれないコレクション展のどちらの作品も楽しんでいただき、とても嬉しいです。大阪YMCAインターナショナルハイスクールのみなさん、ご来館ありがとうございました。またのご来館お待ちしています。[S.S]

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