7月21日に大阪府立たまがわ高等支援学校美術部の1~3年生4名が来館されました。
打ち合わせで先生にお渡ししていた『Social Story はじめて美術館にいきます。』(※)を読んで、美術館のことや過ごし方を予習してくださっていたみなさん。講堂に入る前に、入口横に展示されている高松次郎《影》(1977年)を見て、「あ!これ見たことある!」と反応していました。
オリエンテーションで、当館についてのお話しを聞き、今の美術館の外観を見て、「恐竜の骨みたいに見える」、万博記念公園時代の建物を見て、「工場に見える」と積極的に発言してくれる生徒がいました。他のみなさんも、これから鑑賞する作品をスクリーンに映すと、描かれている人物の様子を見て「何をしてるんだろう?」「ランタンを持っているのかな?」等、作品に描かれていることに興味を持って見ようとしていました。
オリエンテーション後は地下2階で開催されている「コレクション1 80/90/00/10」展へ向かい、鑑賞サポートツールの『アクティヴィティ・シート』より、「表紙/気に入った作品をスケッチ」と「スケッチ&ディスクリプション」に取り組みました。さすがは美術部のみなさん、絵を描くことが好きだと言って、スタッフが驚くほど熱心に作品を観察して、すらすらとスケッチしていきます。同じ作品を選んでも、生徒間で気になる部分が違うため、当然、シートに描き上げられるものも異なってきます。村上隆《727 FATMAN LITTLE BOY》(2017年)を見て、一人は作品全体を、もう一人は中央下部に描かれたキャラクター、DOB君のアップを描いていました。描きながら、DOB君に目がたくさんあることに気がついたり、キラキラ光る様々な色の絵の具を見て「宝石みたい」という言葉も出てきました。また、ある生徒は別の部屋に展示されている村上隆《そして、そしてそしてそしてそして3-A》、《そして、そしてそしてそしてそして3-B》(いずれも1996年、国際交流基金蔵)にも同じキャラクターが描かれていることに気づき、耳に描かれた文字について「0?8?それともO?B?」と言って、「角度によって数字に見えたり英語に見えたりするのかもしれない」と自問自答していました。
マーク・マンダース《乾いた土の頭部》(2015-16年)をスケッチしていた生徒は、「見れば見るほど、何かわからない」と疑問に思った様子でした。顔が半分だけの彫刻を見ながら、もし体があればどんな体かと想像を膨らましていました。また、マイク・ケリーの「カンドール」シリーズ(2007-09年)を見ながら、どんな作品なのか説明するディスクリプションの欄に自分が感じたことを書き加えている生徒もいました。
生徒さんたちが夢中になって『アクティヴィティ・シート』に取り組む様子を見て、引率の先生が当初の予定から鑑賞時間を少し延長してくださったほど、とても熱心に鑑賞し、スケッチし続けていました。
美術館での時間を楽しんでいただけたなら、私たちもとても嬉しいです。大阪府立たまがわ高等支援学校美術部のみなさん、ご来館ありがとうございました。またのご来館お待ちしています。[S.S]
※ 『Social Story はじめて美術館にいきます。』は、発達障がいの方をはじめ、美術館にはじめて訪問する方、利用することに不安を感じる方に向けた美術館案内です。美術館での過ごし方について、わかりやすく説明しています。詳細はこちらから




