国立国際美術館

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みる+(プラス)

「美術館ではなしてみる」

2022年10月30日(日)

10月30日(日)に、みる+(プラス)「美術館ではなしてみる」を開催しました。

「みる+(プラス)」は、視覚(みる)だけに頼ることなく、ほかの感覚器官もプラスして働かせることにより、だれでもが鑑賞をはじめとする美術館のアクティヴィティを楽しめることを目指すプログラムです。このプログラムは、今期の「すべて未知の世界へ ― GUTAI 分化と統合」展(以降、具体展)関連で、4回連続で開催する「みる+(プラス)」のうち、9月4日の「オンラインではなしてみる」(※1)に続く、2つめのプログラムとして開催し、年齢・性別・見える・見えにくいかかわらず、様々な10名の方にご参加いただきました。

まず、講堂に集まった参加者へ「みる+(プラス)」の趣旨とともに今回のプログラムでは、「みる」以外に「話す」や「聴く」をプラスして参加者同士が交流し、美術館という場所でしか感じられないものを味わったり、他の参加者の見方、感じ方を知ることで一人では感じられない作品のイメージを膨らませることを目的としていることをお伝えしました。
その後、各自持参いただいた「捨ててもいいものだけど捨てられないもの、または自分が工夫して作ったもの」を参加者同士で紹介・共有しながら自己紹介をしました。少し緊張気味だった雰囲気がそれぞれのお話を聞くことで、少しずつ和らいだところで、作品画像を投影しスライドトークへと進みました。

スライドトークでは、具体展の作品の中から鷲見康夫《作品》(1960年頃)、元永定正《作品65‐1》(1965年)、高﨑元尚《装置66‐3》(1966/90年)の3点を鑑賞しました。最初は、なかなか感じたことを話せなかった参加者もお子さんの自由な発言に触発されて、お話ができるようになっていきました。
なかでも、元永定正《作品65‐1》では、お子さんの「たこ焼きに見える!」という発言をきっかけに大人の参加者から「たこ焼きの中にいろんなものが入っていて、具材同士がきゃっきゃと笑いあっている」という感想も聞かれた一方で、別の参加者からは「描き方が気になった。作って崩している感じがして、私は1㎜もたこ焼きには見えなかった」と互いの感じ方の違いを実感する場面もありました。

展示室では、スライドトークで紹介した作品に加えて、9月4日にオンラインで鑑賞した白髪一雄《天雄星 豹子頭》(1959年)、吉原治良《無題》(1963年)、田中敦子《地獄門》(1965-69年)の計6点の作品を全員または小さなグループに分かれながら約1時間かけて鑑賞しました。
特に興味深かったのは、展示室でしか感じることができない、白髪一雄《天雄星 豹子頭》の作品にみられる絵の具の盛り上がりに話が及んだ際のことです。前回のオンライン開催にも参加された方から、どの位置から作品への照明が当たっているのか確認があり、作品の上部から当たっていることによって、オンラインの画面やスライドではあまり感じることができなかった絵の具の凹凸による影を感じ、生きているようなぬくもりを感じることができると発言があり、それを受けてトーカーから自然光の入るこの場所だからこそ光の変化によって作品の印象が日々変わり、まるで作品が生きているように感じられるのかもしれないと新たな気づきが生まれる場面がありました。

コロナウイルス感染症対策が緩和され、久しぶりに展示室でお話することができ、現場でしか感じることのできない感覚を参加者同士で共有することができました。それぞれ新たな発見に満ちた時間だったのではないかと思います。ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。「連続みる+(プラス)」は、まだまだ続きます。次回は、事前にお申し込みの必要がない、自由に参加いただける「50個の『・』から絵をかこう」ワークショップ(※2)です。11月20日(日)の10時半から16時半の間に、当館地下一階講堂までぜひお越しください。[K.Y]

※1「オンラインではなしてみる」(9月4日開催)の様子についてはこちらから

※2自由に参加!「50個の『・』から絵をかこう」ワークショップについてはこちらから

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2022年10月30日(日)
14:00〜16:00 対象:どなたでも 定員:10名
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