7月13日に大阪夕陽丘学園高等学校の1~3年生43名が来館されました。
美術コースに在籍し、普段からデッサンや色彩構成を学んでいるというみなさんに、国内外の現代美術作品を知り、実物を見てもらいたいと担当の先生から要望を受け、事前の打ち合わせで活動内容を決めていきました。
講堂でのオリエンテーションでは、当館や展覧会について紹介しました。スクリーンに映し出された村上隆《727 FATMAN LITTLE BOY》(2017年)を見ると、「文字が白い」、「FATMAN、LITTLE BOYは原爆の名前だよね?」等気づいたことや他にも考えたことを友達同士で話す姿もありました。今後、美術系の大学に進学する生徒もいるとお聞きしていたので、巨大な彫刻作品であるマーク・マンダース《乾いた土の頭部》(2015-16年)を紹介しながら、作者の制作意図や展示方法について触れました。また、作品の調査研究、収集、保存、展示、教育普及という美術館学芸員の仕事についてもお話ししました。
その後、地下3階で開催している「ホーム・スイート・ホーム」展と地下2階で開催している「コレクション1 80/90/00/10」展に分かれ、それぞれのペースで鑑賞しました。鑑賞サポートツールの『アクティヴィティ・ブック』(※)の中から、気になった作品をスケッチし、どうして気になったのかを記述するアクティヴィティ「07 気になるもの」に取り組んだ生徒は、「ホーム・スイート・ホーム」展のマリア・ファーラ《私がつくるケーキ》(2022年)を見て、動物やケーキの絵のタッチをできるだけ細かくスケッチし、気になるポイントとして、全体に使われているカラフルな色彩を挙げていました。鎌田友介のインスタレーション作品《Japanese Houses》(2023年)をゆっくりと見ていた生徒は、一部建物が壊れている写真があるのはなぜだろうと他の生徒と話しながら、複数の写真を見比べて鑑賞する姿もありました。
「コレクション1 80/90/00/10」展では、壁から人の足が出ているロバート・ゴーバー《無題》(1992年)が気になり、のぞき込んでいた生徒がいました。スタッフから「何歳の人の足に見える?」と問いかけられると、足の太さや長さから「5歳ぐらいかな」と答えるも、5歳ぐらいの子どもなのに、なぜ大人のようにはっきりと毛が生えているのだろうと再度作品に立ち返り、不思議そうに見ていました。他にも、トーマス・シュトゥルート《渋谷交差点、東京》(1991年)を見ていた2人の生徒は、「いつの渋谷だろう?」と疑問を持ち、看板や人の服装等から今との違いを比べていました。
『アクティヴィティ・ブック』に取り組み、気になるものという1つの着眼点を持って作品と向き合ったことで、人と話をしながら、それぞれ気づいたこと、考えたことが生まれたのではないでしょうか。美術コースのみなさんは、これから色々な表現にチャレンジしていくことと思います。今回の美術館におけるさまざまな場面での実感を今後の制作に活かしていただけると嬉しいです。大阪夕陽丘学園高等学校のみなさん、ご来館ありがとうございました。またのご来館お待ちしています。[S.S]
※ アクティヴィティ・ブックに関する詳細はこちらから


