8月29日に大阪市立茨田小学校の5~6年生107名が来館されました。
最初に講堂でオリエンテーションを行いました。建物の紹介では、当館の外観を「羽みたい!」と答えてくれたり、地下型の構造に驚いたりと、建物にも興味津々な様子が伺えました。スクリーンにこれから見る作品、奈良美智《長い長い長い夜》(1995年)の画像を映して、最初に目に入った所を尋ねると、「釣りをしている」「女の子の目がつりあがっている」とそれぞれが見て思ったことを伝えてくれました。他の子の意見も合わせて考えて「(魚が)釣れなくて怒っている」と、見えていることからどのような場面か想像もしていました。作品を見るときのポイントとして、「自分の目でしっかり見て、気になると思ったら、何が気になったのか作品をもう一度見てみよう」と伝えました。
学年ごとに地下2階で開催されている「コレクション1 80/90/00/10」展(以下、コレクション展)と地下3階で開催されている「ホーム・スイート・ホーム」展に分かれ、鑑賞サポートツール『アクティヴィティ・シート』の「かるたの札づくり」を使って、作品をスケッチして絵札を、作品を見て思いついた言葉で読み札をつくるアクティヴィティに取り組みました。「ホーム・スイート・ホーム」展では、一通り見て回った後、アンドロ・ウェクアの彫刻作品で多くの子どもたちが立ち止まりました。高さ2メートルを超える大きな窓が展示されている《窓》(2010年)を熱心にスケッチしていた子どもは、「この窓はどこにつながっているのか気になる」と話していました。スタッフに「どこにつながると思う?」と尋ねられると、「わからない場所。わからない所に連れていかれるから怖い感じ」と作品を見て感じることを織り交ぜながら、かるたの読み札を考えていました。他にも、小さな家の模型のような作品《タイトル未定(家)》(2012年)の周囲をまわりながら、「(入口の)ドアに行くにはどこから入ったらいいんだろう?(別の場所にある)階段もつながっていないし・・・ここはどこなんだろう?」と家への入り方や建物の周辺を想像して作品を見ている子もいました。
コレクション展では、地下1階から地下2階につながる柱の上部に恒久展示されている須田悦弘《チューリップ》(2006年)を発見する男の子たちがいました。その様子を見て、女の子がスタッフに「あれも作品ですか?」と聞いてくれました。柱に近づいて一緒によく見てみると、花びらや葉に穴が開いていることから、「枯れているのかな。(作品は)どうやって(柱に)とまっているんだろう?」と花や葉の様子から展示方法まで細かく観察していました。その後、他の女の子たちとコレクション展に展示されている別の須田作品を鑑賞し、まるで本物の花や葉のように見えるのに木で作られていることを知り、「あれは本物じゃないの?!」と驚いて、伝えに来てくれました。
みなさんが自分の目で作品をしっかり見たからこそ、表現の細かさに気づき、素材や展示方法についてもおのずと疑問や関心が生まれます。そして自分一人ではなく、他の子と一緒にお話しすることで、作品に対する発見が増え、より考えが深まっていったように思います。今日の体験を通してこれからも作品鑑賞を楽しんでいただけたら嬉しいです。
大阪市立茨田小学校のみなさん、ご来館ありがとうございました。またのご来館お待ちしています。[S.S]


