国立国際美術館

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第25回 中之島映像劇場 「現代美術と映像|田中功起との対話」

第25回中之島映像劇場では「現代美術と映像」をテーマに、現在京都を拠点に活動している田中功起(1975年生まれ)をゲストに招いた上映と対話を行います。田中は、2013年に第55回ヴェネチア・ビエンナーレにおける日本館の展示で特別表彰を受賞し、2015年にドイツ銀行が選定するアーティスト・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、国際的に活躍している現代美術家です。しかし田中の作品、特に映像作品の発表の場は、必ずしも現代美術の文脈だけに限られるものではありません。その一部は、展覧会の形式の中で発表された後に劇場版のシングル・チャンネルに編集され、ベルリン国際映画祭(2020)、ロッテルダム国際映画祭(2019)、釜山国際映画祭(2019)などで上映されました。さらに、コロナ禍の困難な状況の中で制作された《事後勉強会》(2021)の場合には、ディルイーヤ・コンテンポラリー・アート・ビエンナーレ(サウジアラビア、2021)での「展示」、ルートヴィヒ美術館(ドイツ、2021)での「上映」後、2022年にTheatre E9 Kyotoで「上映」されました。21世紀の社会はあらゆる映像で溢れていますが、全ての映像が「展示」と「上映」という、ある意味では特権的とも言える形式を通じて観客に出会えるわけではありません。異なる鑑賞形式を横断する作品のあり方とその背後にあるアーティストの思考、オンラインで視聴可能な作品を美術館という公共の場に集まって見ることの意味など、現代美術と映像をめぐる諸問題についてみなさんと一緒に考えてみたいと思います。

そしてもうひとつ、初期から最新作まで約20年間の田中の歩みから作品を選んで並べてみると、作品世界の変化のみならず、撮影と編集機材、データの容量や形式、保存媒体、製作体制にいたるまで、映像制作環境の変化が浮き彫りにされます。今回の上映と対話は、映像表現の軌跡に映し出された、アーティストの芸術実践のひろがりを逆照射する試みでもあります。

上映会に寄せて
スマホなどで動画にランダム・アクセスできる時代において、映画館や美術館で映像を見る経験は不自由なもの。それでも映画館での上映や美術館で映像を展示することには、何か別の意味があるのだろうか。あるとすればどんな意味を見出すことができるだろうか。
ぼくはたくさんの映像作品をつくってきたけど、実は映像をつくることそのものにはそれほど興味がなかった。それよりもぼくは、映像という方法を使って批評的な芸術を為すことにこそ興味がある。
田中功起(2023/4/11)

主催
国立国際美術館
協賛
ダイキン工業現代美術振興財団
定員
100名(全席自由、先着順)
開催日
2023年5月13日(土)

プログラム

13:00 – 《事後勉強会》(2021年/日本、サウジアラビア/カラー/48分)
14:10 – 《抽象・家族》[劇場版](2020年/日本、シンガポール/カラー/110分)
16:15 – 田中功起との対話[2000年〜2016年に制作された短編選の上映を含む ]

  • 短編選
    • 《Eating the History, Reflecting the Present (Whose Victory?)》(2016年/デジタル/4分30秒)
    • 《一つのプロジェクト、七つの箱と行為、美術館にて》(2012年/デジタル/13分33秒)
    • 《A painting to public (Metro Bus Line 2, Los Angeles)》(2011年/デジタル/2分32秒)
    • 《123456》(2003年/デジタル/エンドレス・ループ)
    • 《ムービング・スチル》(2000年/デジタル/エンドレス・ループ)
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