会期:2002年8月1日~9月10日
日本と韓国の、現在活躍中の女性作家各6名ずつ計12名によるグループ展。ワールドカップの共同開催に際して、日韓国民交流年事業の一環として日韓の相互理解がより一層深まることを願いつつ企画した。本展では「知る」ということが、何を意味するのかを問い、それによって情報やコミュニケーションのあり方についての再考を促した。日常生活で出会う様々な場面が意味を転じて観る者の前に立ちはだかるような、不気味とも呼べる経験を通じ、出品作品と観客との対話が促される。そのことを通じて、自分を知り、他人を知ることの意味を問い直し、また日本と韓国という「近くて遠い」隣人の文化を理解し、男性と女性という区別を越えた相互理解へとつながることを狙ったものである。これまでにも何回か日韓現代美術展が開催されているが、とりわけ、今回は女性の作家達に注目し、女性の側からの芸術へのアプローチを探った。国籍や性の違いによる既成の概念にとらわれることなく、個々の作家活動に注目し、彼女らの優れた制作がいかに私たち見る者を攪乱し、静かな衝撃を与えながら、世界の見え方を変えて行くのか、といった点についての豊かな成果が得られたと考える。パートナーとなった韓国国立現代美術館と国立国際美術館が、企画段階から共同作業に直接携わり、作家や学芸員の人的交流も交えつつ、有意義な催しとなった。
出品作家:ブブ・ド・ラ・マドレーヌ、岩城直美、キム・サニー、キム・ユソン、木村友紀、松井智惠、松尾藤代、バク・ファヨン、坂上チユキ、ウ・スノク、チャン・ヨンヘ・へヴィー・インダストリーズ、ユン・エヨン