会期:
2014年5月27日(火)~9月15日(月・祝)
日本の現代美術家10組による「ノスタルジー&ファンタジー 現代美術の想像力とその源泉」展を開催します。
ノスタルジーとは郷愁のことです。生まれ育った故郷を懐かしんだり、古き良き時代を思い返したりする心情を表します。思い出の中の風景は、その時の自身の感情に影響され、時には現実から離れ、空想の世界へと飛躍していったりするものです。この空想の世界をファンタジーと呼ぶことができるでしょう。ノスタルジーとファンタジーは、ともに私たちの誰もが抱く心のありようといえるのです。
芸術家もまた例外ではありません。彼らの創作活動の多くにファンタジーの世界が広がっており、そのファンタジーの源泉が、ノスタルジックなイメージから紡ぎ出されることもあるのです。
本展では、現代アートの重要な創作源として、この二つのキーワードに注目します。その際、そもそも創作自体がファンタジーではないかという考え方もあるでしょう。ファンタジーとは人間の想像力そのものとも言えるからです。したがって、本展では、ノスタルジーに固執する人間の意識の本性と向き合いながら、それを独自のイメージの世界へと昇華させた作品を取り上げたいと考えます。
一方で、彼らの作品が見るものを惹きつけるのは、現代を生きる私たちもまた、こうした心情を共有しており、それは時代の風潮というふうにも考えられるのではないでしょうか。未知の表現を目指す現代アートと、過去を指向するノスタルジーという心情は、まるで反対向きに思われますが、現代という時代は、この二つを結びつけているようにも思われます。
本展で紹介する、世代も作風も異なる作家たちの個性的な表現活動は、一見、脈絡のない個人的領域に属するものに見えますが、ノスタルジーとファンタジーという視点を設定するとき、それらに共通する一つの世界像が見えてくることでしょう。
橋爪彩 《Chloris》 2011年 個人蔵
courtesy of imura art gallery 撮影:加藤健
横尾忠則 《記憶の鎮魂歌》 1994年 作家蔵
柄澤齊 《決壊(『洪水の後』より》 1998/2009/2011年 国立国際美術館蔵
淀川テクニック 《宇野のチヌ》 2010年 courtesy of the artists and Yukari Art
※本展の出品作品ではありません
須藤由希子 《鉢植えと家‐月島》 2008年 ギャラリーイヴ蔵 courtesy of Take Ninagawa
山本桂輔 《貝》 2012年 作家蔵 courtesy of Tomio Koyama Gallery
棚田康司 《現れた少女》 (部分) 2011年 作家蔵
courtesy of Mizuma Art Gallery 撮影:宮島径
小西紀行 《無題》 2007年 齊藤洋久氏蔵
courtesy of ARATANIURANO 撮影:木奥惠三
北辻良央 《命の馬》 2003年 作家蔵 撮影:森岡厚次
小橋陽介 《Self-portrait 148》 2008年 高橋コレクション蔵
「ノスタルジー&ファンタジー」展 アーティスト連続トークショー
『現代美術とノスタルジー 最先端の試みをめぐって』
第1回「郷愁を拾い集める」(ゲスト:淀川テクニック)
司会進行:安來正博(国立国際美術館 主任研究員)
「ノスタルジー&ファンタジー」展 ギャラリートーク
講師:安來正博(国立国際美術館 主任研究員)
「ノスタルジー&ファンタジー」展 アーティスト連続トークショー
『現代美術とノスタルジー 最先端の試みをめぐって』
第2回「僕らが見る世界の風景」
(ゲスト:小西紀行×小橋陽介×山本桂輔)
司会進行:安來正博(国立国際美術館 主任研究員)
「ノスタルジー&ファンタジー」展 アーティスト連続トークショー
『現代美術とノスタルジー 最先端の試みをめぐって』
第3回「技法が生み出す小宇宙」(ゲスト:須藤由希子×橋爪彩)
司会進行:安來正博(国立国際美術館 主任研究員)
「ノスタルジー&ファンタジー」展 ギャラリートーク
講師:安來正博(国立国際美術館 主任研究員)
「ノスタルジー&ファンタジー」展 アーティスト連続トークショー
『現代美術とノスタルジー 最先端の試みをめぐって』
第4回「彫り出されたイメージの形」(ゲスト:棚田康司)
司会進行:安來正博(国立国際美術館 主任研究員)
開館時間
午前10時~午後5時、金曜日は午後7時まで (入場は閉館の30分前まで)
休館日
月曜日、ただし7月21日(月・祝)、8月11日(月)、9月15日(月・祝)は開館、7月22日(火)は休館。
観覧料
個人:一般900円/大学生500円
団体:一般600円/大学生250円