会期:1987年7月23日~ 9月23日
当館では、開館以来、内外の現代美術の動向を代表する作品を積極的に収集している。この展覧会は、当館が昭和60・61年度に収集した22作家93点の作品を、初めて一堂に紹介したもので、展示内容は以下のとおりであった。
絵画 アメリカと日本の美術交流に尽くした国吉康雄、漆塗のような材質感の情趣に富む抽象画家の山口長男、抽象絵画にも似た心象風景画の野見山暁治らの油彩画。明快な色彩と形態の組み合わせによる空間構成の菅井汲、エアブラシによる虚像と実像の交錯する空間を作る三尾公三、反芸術志向と表現主義的表現とが混在する篠原有司夫らのアクリル画。新しい絵画を目指す「シュポール・シュルファス」の美術運動に加わったルイ・カーンの作品。文字とも形象ともつかぬ不定形のイメージによるアンリ・ミショー、美術の最前線で活躍しているジョナサン・ボロフスキーらの素描画。アンフォルメル運動に参加した大西茂の墨の作品。
版画 昭和58・59・60年度の3年間に収集した銅版画の巨匠・浜口陽三の作品151点のうち60年度分の20点。加納光於のエッチング、カラーメタルプリント、インタリオなどによる繊細な詩的感性を漂わす作品23点。雑誌と自分の写真を巧みに組み合わせたセリグラフィーによる郭徳俊や版画の立体化とも言うべき木村秀樹らの作品。ジャパンエンバ美術コンクール国立国際美術館賞受賞者の浜西勝則と八神和敏の作品。
彫刻 自分の作品をアール・コンクレ(具体美術)と呼んだハンス(ジャン)・アルプ、曲面のあるシンメトリカルな彩色彫刻のフィリップ・キング、タブローとオブジェを合体したジャスパー・ジョーンズ、増殖する奇妙な美のイメージによる草間彌生らの作品。磯村英俊の現代日本美術展国立国際美術館賞受賞作。
その他 顔によるドローイングとも呼べるブライス・ボーネンの写真12点。