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先生のためのプログラム

大阪府教育センター 令和6年度「美術館研修-鑑賞ワークショップ-」

2024年7月23日(火)

7月23日に大阪府教育センターの研修を開催し、大阪府内の小・中学校(義務教育学校を含む)、高等学校、支援学校の図工、美術、工芸担当教員31名が参加しました。

この研修は、大阪府教育センターからの依頼を受けて、夏休み期間に開催しています。(※1)美術館における鑑賞学習を体験し、美術館と連携した鑑賞学習の充実の図り方を学ぶという目的に合わせて、講義と演習を組み合わせて施しています。

冒頭のレクチャーでは、アートカードを用いた実践として、美術館スタッフから『国立美術館アートカード・セット』(以下、アートカード ※2)の特徴と意義、発達段階と学習目標に応じたゲームの取り組み方について紹介しました。先生方は、作品の共通点を考える「にたものつながり」と4つの作品を選んでストーリーを考える「4コマ物語をつくろう!」の2種類のゲームを体験しました。先生方ご自身がゲームに参加することによって、児童生徒が取り組む際にどのようなことに配慮すればよいか、児童生徒にはどのような学びが起きているか、起きるようにするためにはどのようなゲームを取り入れたらよいかなどを考えるきっかけにしていただきました。

次に地下2階展示室の一部で展示している近年の収蔵品2点と恒久設置作品7点を個人で鑑賞しました(※3)。鑑賞の際には、大阪府教育センターが準備された「私が見つけた、MY BEST!」という、「自分の中の一番だ!」と思った作品を選び、作品の簡単なスケッチ、作品を選んだ理由などを記入するワークシートに取り組みました。
個人での鑑賞後は、校種別に3~5名のグループに分かれ、それぞれのグループで設定した対象の学年に合わせた鑑賞授業プランを検討しました。授業プランを考えるにあたって、大阪府教育センターから学習指導要領の図画工作科・美術科・芸術科(美術)における各学年の目標と内容に関する資料を配布されました。各グループは、授業のねらいを明確にし、授業を通して伸ばしたい、引き出したい児童生徒の資質、能力はどのようなものかを考えた上で、授業プランについて話し合いました。授業プランがある程度整った後に選んだ作品の前に移動して、再度その作品でよいかを確認し、作品を授業で取り上げる際にどのような声がけをしたらよいか、検討している様子もありました。
各グループによる授業プランの発表は、選択した作品の前で行いました。ある小学校のグループは6年生を対象として、事前に引き出したい子どもたちの資質、能力を「作品の形や色などの特徴を基に、自分の見方や感じ方を深める」と設定しました。事前にアートカードの中から好きな作品3点をタブレットで撮影しておき、それらと、美術館に来館して気に入った作品を照らし合わせて、共通点や関係性を考えた上で、自分が作品を選んだ理由や感じたことを言葉で表現するというプランを発表しました。

研修の最後には、美術館スタッフが鑑賞学習を進めるための美術館との連携について講義しました。学習目標や子どもたちの実態、利用形態に応じて、美術館での鑑賞プログラムを組み立てていく過程を説明した後に、ある小学校が来館した際の事例を紹介しました。
講義後の質疑応答では、アートカードの貸出や来館するうえでの留意事項等についての質問があり、今回の研修を通して、美術館を活用した鑑賞授業への実践に向けて、早速検討されている様子が伝わってきました。実際に翌日には、アートカードの貸し出しについてお問い合わせくださった先生もいらっしゃいました。

ご参加の先生方、お忙しい中ご来館ありがとうございました。次回は、児童生徒さんとのご来館をお待ちしております。[F.A]

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