国立国際美術館

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学校団体鑑賞

河内長野市適応指導教室 ゆう☆ゆうスペース

2023年5月11日(木)

5月11日に河内長野市適応指導教室 ゆう☆ゆうスペースの小学4年生から中学3年生までの児童・生徒6名が来館されました。

オリエンテーションでは、まず簡単に当館の建物や歴史をご紹介しました。地上の銀色のパイプが何に見えるかというスタッフからの問いかけに対して、「クジラが潮を吹いているように見える」や「羽ペンに見える」などの声が上がりました。地下1階のエントランスホールは、天井をガラス張りにすることにより、たくさんの外光が入るようになっていることや、その光は床に敷き詰められた大理石の床に反射することでホール中に広がりやすくなっていることなどに触れ、建物を楽しむことも美術館の楽しみ方の一つであることをお話ししました。
地下3階で開催している「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」(以下、ピカソ展)の紹介では、パブロ・ピカソ、パウル・クレー、アンリ・マティス、3名の画家の「人」を描いた作品を見比べました。どのような違いがあると思うか尋ねると、すぐさま「ピカソは人そのものを、クレーは人の輪郭を、マティスは人のシルエットを描いている。」という発言があり、人物の描き方の違いについてのその子なりの回答にスタッフ一同感心しました。

オリエンテーション後、まずはピカソ展を鑑賞しました。鑑賞するペースはそれぞれ違い、さらっと見る子もいれば、じっくり見た後に作品解説を読む子もいます。一人で鑑賞する子もいれば、友達や先生とお話ししながら鑑賞する子もいます。そうした子どもたち、一人ひとりの様子に合わせられるように、先生や美術館スタッフが子どもたちに付き添い、見守りながらゆっくり時間をかけて鑑賞しました。時には、先生やスタッフが、作品に描かれているものや見つけたもの、気づくことについて質問し、対話しながら、子どもたちがよりじっくり作品を見られるような時間を作りました。
ピカソ展を鑑賞した後、「コレクション2 特集展示:メル・ボックナー」(以下、コレクション展)に移動しました。コレクション展の入口付近の天井に吊るされている、アレクサンダー・コールダーの《ロンドン》(1962年)が目に入った子どもは、風を受けてゆっくりと動いている様子を興味深そうに眺めていました。展示室を進み、メル・ボックナーの《セオリー・オブ・スカルプチャー(カウンティング)》(1969-72年)の床に並んでいる石の数を数えたり、並べられている規則性を推測しながら、作品を鑑賞していきました。ある子どもは、《セオリー・オブ・スカルプチャー(ピタゴラスの定理についての黙想)》(1972年)を見て「運動会をしているみたい」など、石の並び方から連想したことをたくさんお話ししていました。その発言にほかの子どもたちや先生たちが耳を傾け、和やかな雰囲気で鑑賞していました。ピカソ展では会場が混雑していることもあり、やや緊張している様子だった子も、コレクション展では、リラックスした様子で先生と一緒に石の並び方をじっくりと考えているようでした。

美術館という初めての場所で、初めての人と会って、美術作品を見るという、子どもたちにとっては初めてづくしの一日だったと思います。後日、引率の先生から、帰りの電車で子どもたちがとても楽しかったと言っていたという、嬉しいご連絡をいただきました。みなさんが、美術館にまた来たいと思ってくれていたら、とても嬉しいです。

河内長野市適応指導教室 ゆう☆ゆうスペースのみなさん、ご来館ありがとうございました。
またのご来館お待ちしています。[F.A]

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