第7回中之島映像劇場 日本の漫画映画の誕生と発展 草創期〜1946年 ―東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品を中心に― チラシダウンロード 今日、この国の「アニメ」が世界を席巻していると言われています。広い意味での「美術と映像」という視点から、その源流の一つとしての「漫画映画」を取り上げます。その場合、根本に存在する「描いた絵を自らの手で動かしたい」という創造的な欲求が重要と考えられます。このような欲求が多様な領域を横断し、突き抜けていく中で、日本の漫画映画が誕生し、発展していったのです。 まずは明治時代後期と推定される印刷式漫画映画と、影響を与えた海外作品を振り返ります。このような地ならしを経て1917(大正6)年に製作された最初の漫画映画を手始めに、戦前・戦中の興隆を巡り、敗戦後の1946(昭和21)年に製作された復活の希望を予示するような作品まで対象とします。 最新の研究とフィルム発掘の成果を踏まえ、共催の東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵の35mmフィルムを中心に、他の機関からの借用も含め、長短49本の作品を全部で7つのプログラムに分けて紹介します(参考作品も含めた合計上演時間は、約9時間30分です)。 日本における漫画映画の歴史を回顧する試みの一つとして、これまでの映画史とは異なった見え方になるのではないかと思います。どうかお見逃しないようにご高覧ください。 主催国立国際美術館、東京国立近代美術館フィルムセンター 協賛公益財団法人ダイキン工業現代美術振興財団 協力神戸映画資料館、株式会社マツダ映画社、有限会社ギャラリーヌン 映写器材/映写担当有限会社シネマトグラファー 開催日2014年3月14日(金)、15日(土)、16日(日) Aプログラム:「海外作品の影響と日本の漫画の創成 1920〜30年代興隆期:1:大藤信郎作品選」 幻燈と動く玩具から漫画映画へ(35mm手回し映写機/映写と解説/8分)松本夏樹所蔵/映写/解説 作者不詳《活動写真【仮題】》(明治時代後期) 同時期の作品2本 海外秀作選 エミール・コール《ファントーシュたちの恋のさやあて》(1908年) オスカー・フィッシンガー《光の交響楽 ルビンシュタインの光の踊り》(1932年) ロッテ・ライニガー《幸運の女神》(1930年) 参考上映「海外作品アンソロジー(1930年代)」株式会社マツダ映画社所蔵 日本最初の漫画映画 幸内純一《なまくら刀[デジタル復元版/白黒ポジ染色版]》(1917年) 北山清太郎《浦島太郎[デジタル復元版/白黒ポジ染色版]》(1918年) 大藤信郎(1900 ~ 61年)作品選 《のろまな爺[白黒ポジ染色版]》(1924年) 《煙り草物語[不完全版]》(1926年) 《馬具田城の盗賊》(1926年) 《黒ニャゴ[デジタル復元版]》(1929年) 《児童唱歌映画村祭[デジタル復元版]》(1930年) 《春の唄》(1931年) 《蛙三勇士》(1933年) 荻野茂二《色彩漫画の出来る迄》(1935年) Bプログラム:「1920~30年代:興隆期:2」 奥田秀彦・木村白山・内田吐夢《蟹満寺縁起【かにまんじえんぎ】》(1924年) 山本早苗《教育お伽漫画 兎と亀》(1924年) 村田安司《動物オリムピック大會[サクラグラフ版]》(1928年) 村田安司《漫画 二つの世界》(1929年) 村田安司《新版 月の宮の王女様[サクラグラフ版]》(1934年) Cプログラム:「1930年代:多様化と充実」 田中喜次《煙突屋ぺロー[1987年再公開サウンド版]》(1930年) 西倉喜代治《茶目子の一日[パテートーキー版/デジタル復元版]》(1931年) 村山籌子・村山知義・岩崎昶《三匹の小熊さん》(1931年) 大石郁雄《動絵狐狸達引【うごきえこりのたてひき】》(1933年) 片岡芳太郎《漫画證城寺の狸囃子 塙団右衛門(塙団右衛門化物退治の巻)》(1935年) 瀬尾光世《お猿の三吉 突撃隊》(1934年) 瀬尾光世《一寸法師ちび助物語》(1934年) 瀬尾光世《のらくろシリーズ のらくろ二等兵》(1935年) 政岡憲三《茶釜音頭》(1934年) 政岡憲三《べんけい対ウシワカ[断片]》(1939年) Dプログラム:「アマチュア映画作家の活躍+中国からの発信」 荻野茂二《FELIXノ迷探偵》(1932年) 荻野茂二《?,三角のリズム,トランプの爭》(1932年) 荻野茂二《百年後の或る日》(1933年) 荻野茂二《RHYTHM(リズム)》(1935年) 荻野茂二《PROPAGATE(開花)》(1935年) 荻野茂二《ANEXPRESSION(表現)》(1935年) 萬籟鳴・萬古蟾《長篇漫画 西遊記・鐵扇公主の巻[日本語吹き替え版]》(1941年) Eプログラム:「1940年代:ある頂点」 荒井和五郎・飛石仲也《お蝶夫人の幻想》(1940年) 瀬尾光世《あひる陸戦隊》(1940年) 瀬尾光世《アリチャン》(1941年) 政岡憲三《くもとちゅうりっぷ[デジタル復元版]》(1943年) Fプログラム:「1940 年代:戦時体制下のプロパガンダと長編の試み」 荒井和五郎・飛石仲也《ニッポンバンザイ》(1943年) 大藤信郎《マレー沖海戦》(1943年) 瀬尾光世《桃太郎の海鷲》(1942年) 瀬尾光世《桃太郎 海の神兵》(1944年) Gプログラム:1946年:敗戦後の復活 政岡憲三《桜(春の幻想)》(1946年) 大藤信郎《蜘蛛の絲》(1946年) 熊川正雄《魔法のぺン》(1946年) 関連ファイル 配布資料