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第6回中之島映像劇場 ビル・ヴィオラ初期映像作品集 心の旅路

「美術と映像」という主題に関して、多様な作品を上映会という形でご覧いただこうと、2011年3月に始まった中之島映像劇場。その第6回目は、世界的に著名なビル・ヴィオラの当館所蔵初期映像作品でプログラムを組みました。昨今の美術家による映像メディアの使用の広まりは、ビル・ヴィオラが大きく影響を与えていると考えられます。彼のビデオ映像作品を改めて見直し、「美術と映像」の現在と将来を考えることが目的の一つです。
しかし、この上映会の真の開催意図、それはビル・ヴィオラの作品世界の汲み尽くせぬ魅力を何度も味わいたいということなのです。
ビル・ヴィオラの映像作品の特質については多々指摘出来ますが、その一つとして「持続と変化」が挙げられます。しばしば彼の映像は時間を引き伸ばされ、いわゆるスロー・モーション状態になります。その結果、極く短い時間であっても、あたかも時間の顕微鏡でのぞいたかのように、通常の視覚では見逃してしまうようなものごとの変化が生じているのが見えてきます(もちろん、空間的な拡大鏡の役割も加わっています)。
森羅万象は巨視的にも微視的にも変化しつつ、かつ持続している――それは電子信号の絶えざる流れを基本とするビデオという表現メディアと根源的に親和している――ビル・ヴィオラの作品世界の背景となる一つの思想であると考えられるでしょう。
このようなビデオならではの特質を生かして彼が探求するのは、世界の現れとそれに対峙する人間の姿――そうした場を求めてビル・ヴィオラは世界各地を旅するのですが、同時にそれは自らに課した精神の探求にもなっています。このようなビル・ヴィオラが辿った心の旅路を、私たちは私たち自身で辿り直すことを要請されているのです。

主催
国立国際美術館
協賛
公益財団法人ダイキン工業現代美術振興財団
協力
ビル・ヴィオラ・スタジオ(Bill Viola Studio LLC)
開催日
2013年10月12日(土)、13日(日)

Aプログラム

  • 《ジュリド湖(光と熱に浮かぶポートレート)》(1979年)
  • 《はつゆめ》田中大圓へ(1981年)

Bプログラム

  • 《おのれは如何なるものかを識らず》(1986年)

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