
2025年3月15日からちょうど55年前となる1970年3月15日から9月13日までの6ヶ月間、大阪府吹田市の千里丘陵で日本万国博覧会(大阪万博)が開催されました。「人類の進歩と調和」をテーマに、77カ国と4つの国際機関が参加した大阪万博は、入場者数は約6千4百万人を記録し、成功裏に終わりました。国立国際美術館は、この戦後日本社会の重要な出来事といくつかの接点を持っている美術館です。まず、万博の開催期間中から閉幕後まで続いた関西在住の美術関係者たちの運動と日本美術家連盟の提案など、さまざまな声が開館に繋がったことです*。そしてもう一つは、1977年の開館当初から2004年に現在の中之島西部地区に新築移転するまで、万博記念公園内に位置していた万国博美術館の建物を活用していたことです。さらに、建造物とともに譲り受けた作品の中には、1970年にガス・パビリオンで発表され、現在は常設展示されている、ジョアン・ミロ(1893〜1983年)の《無垢の笑い》という陶板で構成された壁画も含まれていました。こうした歴史を踏まえ、第27回中之島映像劇場では1970年の大阪万博を切り口に映像について考える時間を設けました。万博の翌年に公開され、同年の日本映画興行成績で一位を記録した壮大なスケールの公式記録映画、コンピュータを利用した生活の未来像を展示した古河パビリオンのPR映画、神経加速剤によって10倍速された近未来を風刺するSFミュージカル映画、万博には入場できなかった炭鉱村の家族が描かれた劇映画、ニュース映画社の撮影した報道映像など、その内容と形式は多種多様です。2025年4月13日から10月13日まで開催予定の日本国際博覧会(大阪・関西万博)を目前に見なおす、約半世紀前の映像はわたしたちの眼にどのように映るのでしょう。
*『国立国際美術館年報 昭和52年―昭和54年』国立国際美術館、1981年、6頁参照
第1部 上映|10:10–
山田洋次監督《家族》(35mm/1970年/106分/国立映画アーカイブ所蔵)
第2部 上映|13:00–
谷口千吉総監督《日本万国博》(原版35mm/1971年/173分/DVD上映/大阪府日本万国博覧会記念公園事務所所蔵)
第3部 上映|16:10–
羽田澄子監督《EXPO’70 コンピュートピア》(16mm/1970年/23分/国立映画アーカイブ所蔵)
勅使河原宏監督《1日240時間》(復元版/1970年/31分/Blu-ray上映/一般財団法人草月会所蔵)
第4部 特別講演|17:20–18:20 (予定)
吉見俊哉(社会学者・東京大学名誉教授・國學院大学教授)「大阪万博と映像」(仮)
講演の中で『毎日ニュース No.767』(1969年/3分34秒/毎日映画社所蔵)の上映を行います。
*各部の間に休憩時間を挟みます。
- 開催日
- 2025年3月15日(土)
- 開催時間
- 10時開場、18時20分終了予定
- 定員
100名(全席自由、先着順・各プログラム入れ替え制)
当日10時からB1インフォメーションにて第2〜4部の整理券を配布します。(各部、1名様につき1枚)- 参加費
無料
- 主催
国立国際美術館、国立映画アーカイブ
- 協賛
公益財団法人ダイキン工業現代美術振興財団