
ザ・プレイ《現代美術の流れ》(1969年)
撮影:樋口茂
関西を中心に活動を続けてきたザ・プレイ(以下プレイ)は、国立国際美術館と縁の深い集団です。1991年には、「芸術と日常-反芸術/汎芸術」展(企画:中村敬治)、2011年には、「風穴 もうひとつのコンセプチュアリズム、アジアから」展(企画:橋本梓)に参加。2016年には、プレイにとって初となる美術館での大規模な個展「THE PLAY since 1967 まだ見ぬ流れの彼方へ」を開催しました。この展覧会は、長い間プレイの活動を注視してきた現代美術愛好家・研究者から、プレイを初めて知るという若い世代まで3万人以上を動員、展覧会カタログは完売に至りました。2010年代以後は、フランスの公的機関での作品収蔵、ヴェネチア・ビエンナーレ(2017年)など国外での展覧会参加の機会も増え、戦後の前衛芸術あるいは関西の現代美術という文脈を越えて活動を続けています。
国立国際美術館では、叢書「現代美術スタディーズ」として、『現代美術の誕生と変容』(山梨俊夫著、2022年)『ゲルハルト・リヒター:絵画の未来へ』(林寿美著、2022年)を水声社より刊行しています。2025年3月に、本シリーズの3冊目として『ザ・プレイ 流れの彼方』(橋本梓著)が出版されました。この機会を捉え、50年以上にわたるプレイの活動の映像記録鑑賞などを交えて、プレイについて語り、またプレイと語り合う会を開催いたします。
ゲストに迎える高橋綾子氏(名古屋造形大学教授)は、中部地方を拠点に美術評論や展覧会企画を手掛け、芸術批評誌『REAR』では2003年の創刊以来編集・制作を務めています。批評という仕事を通じて、作家や作品をいかに語ることができるのか。この問いの重要性は、かたちに残らない行為を反復してきたプレイの仕事を考える際、本質的であると言えるのではないでしょうか。また高橋氏は、1965年に岐阜で開催された「アンデパンダン・アート・フェスティバル」(通称:長良川アンパン)の調査をライフ・ワークにしてこられました。長良川アンパンは、地方で開催された前衛芸術の表出であるという以上に、日本の戦後現代美術史という視座においても特異かつ重要な出来事であり、プレイの結成前夜にも大きく関わるものでした。1960年代後半に隆盛した地方の前衛芸術が与えた影響についてもお話し頂きます。
ザ・プレイについて
1967年に関西で結成。メンバーは流動的で、これまでの参加者数は延べ100名以上。発泡スチロール製のイカダで川を下る、京都から大阪へ羊を連れて旅をする、丸太材で一辺約20mの三角塔を建て雷が落ちるのを10年間待つなど、自然の中での「行為」を計画・実行。セルフ・アーカイビング・ブック『PLAY』(1974年、1981年、1991年、2014年)の編集・発行によって、かたちに残らない活動の数々を記録している。
- 開催日
- 2025年4月26日(土)
- 開催時間
15:00-
- 登壇者
高橋綾子(名古屋造形大学教授)
池水慶一、鈴木芳伸、二井清治(ザ・プレイ)
橋本梓(国立国際美術館主任研究員)- 定員
100名(当日10:00からB1階インフォメーションにて整理券を配布します(お一人様1枚))
- 参加費
無料
- 主催
国立国際美術館、ザ・プレイ