建築の歴史を振り返ると、完成に至らなかった素晴らしい構想や、あえて提案に留めた刺激的なアイディアが数多く存在しています。未来に向けて夢想した建築、技術的には可能であったにもかかわらず社会的な条件や制約によって実施できなかった建築、実現よりも既存の制度に対して批評精神を打ち出す点に主眼を置いた提案など、いわゆるアンビルト/未完の建築には、作者の夢や思考がより直接的に表現されているはずです。 この展覧会は、20世紀以降の国外、国内のアンビルトの建築に焦点をあて、それらを仮に「インポッシブル・アーキテクチャー」と称しています。ここでの「インポッシブル」という言葉は、単に建築構想がラディカルで無理難題であるがゆえの「不可能」を意味しません。言うまでもなく、不可能に眼を向ければ、同時に可能性の境界を問うことにも繋がります。建築の不可能性に焦点をあてることによって、逆説的にも建築における極限の可能性や豊饒な潜在力が浮かび上がってくる――それこそが、この展覧会のねらいです。 約40人の建築家・美術家による「インポッシブル・アーキテクチャー」を、図面、模型、関連資料などを通して読み解きながら、未だ見ぬ新たな建築の姿を展望します。 出品予定作家 会田誠、安藤忠雄、荒川修作+マドリン・ギンズ、アーキグラム、ヤーコフ・チェルニホフ、ヨナ・フリードマン、藤本壮介、マーク・フォスター・ゲージ、ピエール=ジャン・ジルー、ザハ・ハディド・アーキテクツ+設計JV、ジョン・ヘイダック、ハンス・ホライン、石上純也、磯崎新、川喜田煉七郎、菊竹清訓、レム・コールハース/OMA、黒川紀章、ダニエル・リベスキンド、前川國男、カジミール・マレーヴィチ、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ、村田豊、長倉威彦、コンスタン(コンスタン・ニーヴェンホイス)、岡本太郎、セドリック・プライス、エットレ・ソットサス、スーパースタジオ、瀧澤眞弓、ウラジーミル・タトリン、ブルーノ・タウト、ジュゼッペ・テラーニ、山口晃、山口文象(岡村蚊象) 展示作品リストはこちら 会期中に一部展示替えがあります。 前期:1月7日(火)- 2月9日(日) 後期:2月11日(火・祝) 映像制作:長倉威彦《ウラジーミル・タトリン、第3インターナショナル記念塔》CG映像 1998年 ブルーノ・タウト《生駒山嶺小都市計画、遠望図、1933年12月》1933年 大和文華館蔵 制作監修:瀧澤眞弓《瀧澤眞弓、山の家、模型》1986年 個人蔵 ヤーコフ・チェルニホフ 書籍『建築ファンタジー 101のカラー・コンポジション、101の建築小図』より挿図 1933年 個人蔵 村田豊《ソビエト青少年スポーツ施設》模型写真 1972年頃 村田あが蔵 安藤忠雄《中之島プロジェクトⅡ―アーバンエッグ(計画案)公会堂、断面図》1988年 ギャラリー ときの忘れもの蔵 藤本壮介《べトンハラ・ウォーターフロント・センター設計競技1等案》CG画像 2012年 マーク・フォスター・ゲージ《ヘルシンキ・グッゲンハイム美術館》CG映像 2014年映像提供:マーク・フォスター・ゲージ・アーキテクツ 山口晃《都庁本案圖》(会田誠提案による)2018年 個人蔵 撮影:宮島径 関連イベント 対談五十嵐太郎(本展監修者、東北大学教授)×橋爪紳也(大阪府立大学研究推進機構特別教授、大阪府立大学観光産業戦略研究所所長) 1月11日(土) 14:00~/B1階 講堂 参加無料、先着130名、当日10:00から整理券を配布します 〈プレミアムフライデー企画〉ギャラリー・トーク 1月31日(金)18:00~ /B3階展示室 参加無料(要観覧券)、開始30分前から聴講用ワイヤレス受信機を貸し出します(先着90名) 対談磯崎新(建築家)×浅田彰(批評家) 2月15日(土) 14:00~/B1階 講堂 参加無料、定員130名、要事前申込(1月17日(金)必着) 募集は締め切りました。多数のご応募をありがとうございました。 登壇者の磯崎新氏は、Skypeによる出演となります。 申込方法はこちらをご覧ください 講演会「永遠の勾配──荒川修作+マドリン・ギンズ作品のなかの建築ドローイング」 講師:アイリーン・ソヌ(コロンビア大学アーサー・ロス建築ギャラリー 展示ディレクター) 2月24日(月・休) 14:00~/B1階 講堂 逐次通訳付 参加無料、先着130名、当日10:00から整理券を配布します 共催=JSPS科研費JP17H02289・関西大学東西学術研究所 〈プレミアムフライデー企画〉ギャラリー・トーク中止 2月28日(金) 18:00~/B3階 展示室 参加無料(要観覧券)、開始30分前から聴講用ワイヤレス受信機を貸し出します(先着90名) ギャラリー・トーク中止 2月29日(土) 14:00~/B3階 展示室 参加無料(要観覧券)、開始30分前から聴講用ワイヤレス受信機を貸し出します(先着90名) 講演会中止 「カナダ建築センターのコレクションに見る建築家たちの夢」 講師:マルティン・デ・フレッター (カナダ建築センター コレクション部門長) 3月14日(土) 17:00~/B1階 講堂 逐次通訳付 参加無料、先着130名、当日10:00から整理券を配布します 会期 2020年1月7日(火) - 2020年2月28日(金) 開催時間 10:00 - 17:00、金曜・土曜は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで 休館日 月曜日(ただし、1月13日(月・祝)、2月24日(月・休)は開館し、翌日休館) 主催 国立国際美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会 監修 五十嵐太郎 協賛 ライオン、大日本印刷、損保ジャパン日本興亜、安藤忠雄文化財団、ダイキン工業現代美術振興財団 協力 Estate of Madeline Gins / Reversible Destiny Foundation 観覧料 一般 大学生 900円(600円) 500円(250円) ( )内は20名以上の団体料金 高校生以下・18歳未満無料(要証明) 心身に障がいのある方とその付添者1名無料(要証明) 本料金でコレクション展もご観覧いただけます。 夜間割引料金(対象時間:金曜・土曜の17:00~20:00)一般700円 大学生400円 『インポッシブル・アーキテクチャー ―建築家たちの夢』2020年1月7日(火)~3月15日(日) 優待一覧