束芋:断面の世代

会期: 2010年7月10日~9月12日

1975年兵庫県に生まれた束芋は、京都造形芸術大学芸術学部情報デザイン学科に学び、卒業制作として発表した映像インスタレーション作品《にっぽんの台所》(1999年)で一躍注目を集めました。アニメーションを用いた作品で束芋がテーマとしたのは、集合住宅である団地を舞台に主婦の周辺におこる日常であり、それも現代日本社会が抱える病巣のような問題に冷静な視線を送り、強烈な「毒」を込めながら作品化しました。何百枚、何千枚と自ら描くアニメーションは、手書きの原画をコンピューターに取り込みながらもペンや墨による輪郭線に北斎版画の色調を援用することで、どこか懐かしささえ漂う独特の画像を作り出しています。
その後も横浜トリエンナーレやサンパウロ・ビエンナーレ、ヴェネチア・ビエンナーレなどへの国際展の出品やパリのカルティエ現代美術財団、東京の原美術館、そしてロンドンのパラソル・ユニットでの個展など、ますます活動の幅を広げるとともに、生み出される作品も「にっぽんの」と冠された束芋が属する現代日本社会の諸相を表現するものから、自分自身と外部の関係性を見つめつつ大型インスタレーション化がはかられる作品へと変化しています。
今回の個展タイトルでもある「断面の世代」とは、「団塊の世代」に対比させて、束芋自身が自らの世代を呼称するために創案した言葉です。束芋は70年代生まれの世代は個を尊重する存在であり、その個を断面として捉えた時に二次元の断面を集積していくことで出来上がる三次元世界により新たな世界が見えてくるのではないか、と考えています。その視線は、初期の作品で見せた外から内へ、社会から個へという行方から、内そして個から外へと往還させながら展開しているといえるでしょう。
関西では7年ぶりとなる今回の個展のために制作された新作5点を通じて渾身の束芋ワールドを堪能していただけることでしょう。

  • 主催:国立国際美術館、読売新聞社
  • 協賛:(財)ダイキン工業現代美術振興財団
  • 協力:NECディスプレイソリューションズ、ギャラリー小柳
  • 技術協力:The Ufer! Gallery & Ufer! Art Documentary、スーパー・ファクトリー
  • 他館情報
    2007年ヴェネチア・ビエンナーレに出品された束芋《dolefullhouse》(2007)が展示されます。
    会場:兵庫県立美術館
    展覧会:「コレクション展 II」
    会期:2010年7月17日(土)--11月7日(日) ※詳しくは兵庫県立美術館へお問合わせください。

展示作品

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《団地層》(イメージ) 2009年 映像インスタレーション
Courtesy the Artist and Gallery Koyanagi

《団断》(イメージ) 2009年 映像インスタレーション
Courtesy the Artist and Gallery Koyanagi

《油断髪》(イメージ) 2009年 映像インスタレーション
Courtesy the Artist and Gallery Koyanagi

《ちぎれちぎれ》(イメージ) 2009年 映像インスタレーション
Courtesy the Artist and Gallery Koyanagi

《BLOW》(イメージ) 2009年 映像インスタレーション
Courtesy the Artist and Gallery Koyanagi

《BLOW》(イメージ) 2009年 映像インスタレーション
Courtesy the Artist and Gallery Koyanagi

関連イベント

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開館時間

午前10時−午後5時、金曜日は午後7時まで (入館は閉館の30分前まで)

休館日

毎週月曜日 (ただし7月19日(月・祝)は開館、7月20日(火)は休館)

観覧料

当日:一般 420円/大学生 130円
団体:一般 210円/大学生 70円

  • ※ 団体は20名以上。
  • ※ 高校生以下並びに18歳未満、65歳以上。
    心身に障害のある方とその付添者1名。
    いずれの方も無料 (ただし、証明できるものをご提示いただく場合があります)。
  • ※ 本展無料観覧日:7月10日(土)、8月7日(土)、9月4日(土)
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