会期:
2010年4月17日~6月27日
フランスの小説家オクターヴ・ミルボーは、1913年に刊行されたルノワールの画集の序文で、「ルノワールの人生と作品は幸福というものを教えてくれる」と書いています。この言葉は「幸福の画家」という称号をながくルノワールに与え、彼は女性と裸婦の芸術家として親しまれてきました。しかし、ルノワールはその初期から装飾芸術に強い関心を示し、各地を旅して風景画も多く制作しています。そこで『ルノワール─伝統と革新』展では、ルノワール芸術の魅力を4つの章(ルノワールへの旅、身体表現、花と装飾画、ファッションとロココの伝統)にわけ、印象派という前衛から出発したルノワールが、肖像画家としての成功に甘んじることなく、絵画の伝統と近代主義の革新の間で、絶えず模索をつづけた姿をご覧いただきます。
ボストン美術館の《ブージヴァルのダンス》やE.G.ビューレー・コレクションの《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》[大阪展のみ出品]などの代表作をはじめ、初公開作品を含む約80点からなる本展は、国内有数の印象派コレクションで知られるポーラ美術館の特別協力のもと、美術史の新しい視点からルノワールの絵画の魅力を探り、また本展を機に行われた光学調査により、画家ルノワールの技法の最新の知見をご紹介いたします。
《団扇を持つ若い女》 1879–80年頃 クラーク美術館
©Sterling and Francine Clark
Art Institute, Williamstown,Massachusetts, USA
《アンリオ夫人》 1876年頃 ワシントン・ナショナル・ギャラリー
Gift of the Adele R. Levy Fund, Inc.,
©The Board of Trustees, National Gallery of Art, Washington.
《シャトゥーのセーヌ河》 1881年
ボストン美術館 Gift of Arthur Brewster Emmons, 19.771.
Photograph ©2009 Museum of Fine Arts, Boston
《水のなかの裸婦》 1888年 ポーラ美術館
《縫い物をする若い女》 1879年 シカゴ美術館
Mr. and Mrs. Lewis Larned
Coburn Memorial Collection,1933.452. Photography
©The Art Institute of Chicago.
《花瓶の花》 1866年頃 ワシントン・ナショナル・ギャラリー
Collection of Mr. and Mrs.
Paul Mellon ©The Board of Trustees, National Gallery
of Art, Washington.
《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》 1880年
E.G.ビューレー・コレクション
《レースの帽子の少女》 1891年 ポーラ美術館(ポーラ・コレクション)
ルノワール展 講演会
「画家ルノワールの生涯と芸術」
講師:荒屋鋪透(ポーラ美術館館長/本展監修者)
ルノワール展 講演会
「晴れた日はルノワールに逢いに行こう」
講師:結城昌子(アートディレクター/エッセイスト)
ルノワール展 金曜コンサート
「フランス音楽の夕べ~音楽の印象派~」
出演者:弦楽四重奏(ヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロ)
ルノワール展 講演会
「絵画の冒険者、ルノワールの足跡」
講師:安來正博(当館主任研究員)
開館時間
午前10時−午後5時、金曜日は午後7時まで (入館は閉館の30分前まで)
休館日
毎週月曜日 (ただし5月3日(月·祝)は開館)
観覧料
当日:一般 1500円/大学生 1200円/高校生 600円
前売:一般 1300円/大学生 1000円/高校生 500円
団体:一般 1200円/大学生 900円/高校生 400円