会期:
2010年1月16日~4月4日
国立国際美術館が、万博記念公園から大阪の中心部、中之島に移転して5年が経つのを記念して、特別展「絵画の庭─ゼロ年代日本の地平から」を開催いたします。本展は、日本の若い世代を中心に活発な動きが見られる、この10年余りの新しい具象的な絵画に焦点を当てるものです。
1990年代以降、現代美術の世界では、映像や写真、インスタレーションなどの作品が展示される機会が飛躍的に増える一方で、具象的な絵画が国内外を問わず熱い注目を集めてきました。06年に当館で開催した「エッセンシャル・ペインティング」展は、そうした動向の一端をリュック・タイマンスやピーター・ドイグなど欧米の13名の画家たちの作品によって紹介したものです。
もちろん具象的な絵画は、時代を超えた普遍性を持っています。しかし、90年代半ばから台頭し、ゼロ年代を経てもなお衰えを見せない日本の具象的な絵画の隆盛には、かつてない地殻変動が感じられると同時に、欧米の美術史の文脈のみに縛られない解放感に溢れています。
本展でご紹介する作家の多くは、新しさを一義的に追求することなく、目に見える世界を素朴に再現するものでもなく、個人的で日常的な視点から、描くことそれ自体を肯定し、時代の閉塞感さえも軽やかにあるいはアイロニカルに捉える自在さを具えています。また、完成作としてのタブローばかりではなく、ドローイングの瑞々しい表現を積極的に駆使し、挿絵や絵本、マンガなどこれまで周縁的なものとして排除してきた大衆文化の養分をも吸収した斬新な作品群も数多く見られます。
軽妙な人間像や図像が目に焼き付くO JUN、独特の光に包まれた風景や人間像を描く小林孝亘、それに鋭いまなざしの少女像で知られる奈良美智ら先行世代から、1980年代生まれの後藤靖香、坂本夏子、厚地朋子といった新進の画家、さらに近年線描による絵画で新境地を開いている草間彌生を加えた28名の近作、新作合わせて約200点を、地下2階と3階の展示室すべてを使って紹介します。
会田誠 《ジューサーミキサー》 2001
高橋コレクション ©AIDA Makoto courtesy of Mizuma Art Gallery
O JUN 《オチルコ》 2003 国立国際美術館蔵
加藤泉 《無題》 2008
個人蔵 courtesy of ARATANIURANO
厚地朋子 《ルーラル》 2008 個人蔵
©Tomoko Atsuchi courtesy of TARO NASU
中山玲佳 《Safarism-Deer》 2008
作家蔵 ©Reika Nakayama
photo: Kenryu Tanaka, MORI YU GALLERY
courtesy of MORI YU GALLERY
草間彌生 《Girls》 2004 作家蔵 ©Yayoi Kusama
photo:上野則宏 courtesy of YAYOI KUSAMA STUDIO Inc.
奈良美智 《The Little Judge》 2001 個人蔵
©Yoshitomo Nara photo: Yoshitaka Uchida
courtesy of Tomio Koyama Gallery
村瀬恭子 《Around the Lilac Rock #4》 2006
国立国際美術館蔵 courtesy of Taka Ishii Gallery
絵画の庭展 作者と語る 第1回
O JUN、小林孝亘、杉戸洋
聞き手:島敦彦(当館学芸課長)
絵画の庭展 ロックバンド「真美鳥」ライヴ
出演:岩永忠すけ(g/v、出品作家)、板垣賢司(d)、在知(g)、仲田慎吾(b)
国立国際美術館新築移転5周年記念シンポジウム
「絵画の時代ーゼロ年代の地平から」
23日(土)午後1時20分~午後4時45分
24日(日)午前10時25分~午後2時50分
絵画の庭展 作者と語る 第2回
加藤泉、長谷川繁、町田久美
聞き手:島敦彦(当館学芸課長)
絵画の庭展 作者と語る 第3回
青木陵子、厚地朋子、森千裕
聞き手:橋本梓(当館研究員)
絵画の庭展 ギャラリートーク
(当館学芸課長による作品解説)
開館時間
午前10時-午後5時、金曜日は午後7時まで (入館は閉館の30分前まで)
休館日
毎週月曜日 (ただし3月22日(月・休)は開館、3月23日(火)は休館)
観覧料
当日:一般 1100円/大学生 500円
前売:一般 900円/大学生 400円
団体:一般 800円/大学生 300円