コレクション 1

会期: 2007年4月7日~6月24日

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未公開作品のジャンル別展示を基本にしつつ、技法やモチーフ、時代などの視点から、杉本博司と関連を見出せる作品を数多く選定。杉本の写真と当館の現代美術のコレクションを、相互に参照しつつ鑑賞できるような展示構成にしました。

1.近現代の版画とドローイング:ヴォルスを中心に
多彩な表情の線によって自己の心象風景を視覚化したかのようなヴォルスの版画。次のセクションで展示中のタイマンスの絵画と同一モチーフのドローイング。そして日本を代表するグラフィックデザイナー粟津潔によるシェークスピアの演劇ポスター。またこのスペース内には、杉本の模型の写真を思わせるアルプの抽象彫刻も展示。

2.現代の絵画:アジアをめぐって
異なる芸術館をもつ3人の作家による人物と建築をモチーフにした絵画4点。90年以降の具象絵画の立役者タイマンスによる、日本にキリスト教を伝えたサビエルが属していた修道会イエズス界の創始者ロヨラの顔と同会の教会を、記憶に働きかける独自の方法で描いた2点。昨年東京の表参道に作品を設置したことで話題になった、写真をもとにコンピュータ上で描いたシンプルな人物像。そしてパフォーマンスでよく知られる中国の馬六明による、男でも女でもなく、大人でも子供でもない、社会的・文化的問題に揺さぶりをかける人物像。

3.現代の写真:ベッヒャー夫妻と現代
徹底して主観を排除した白黒の建築写真の組み合わせによって、公約数的要素を浮かび上がらせるドイツのベッヒャー夫妻。彼らは80年以降の現代美術界に大きな影響をもたらしか。その教えを受けたルフは、モデルの個性を写真上で暴けないという考えを立証すべく、感情移入による解釈を避けるように外的な事実を淡々と描写。また、昔のベルギー周辺の絵画を思わせる構図で、人工物と自然が入り混じる曖昧さを表現したフランスのビュスタモントの風景写真。さらに現代の若者の内面を肖像・風景・生物などを通して写し出した写真で知られるティルマンスによる抽象的作品。そして杉本博司も子供時代に親しんだというフォトグラム技法を用いた瑛九の代表作。

4.コンセプチュアル・アート:デュシャンの1980年以降
伝統的に手によって創り出される視覚的な造形物であった美術作品。20世紀前半におけるデュシャンの登場以降、必ずしもそうではなくなる。制作物や制作行為には意味はなく、非視覚的なアイデアやコンセプトを重視する作品が発表されるようになる。80年代以降においても、目に見えない観念に重きを置いた様々な作品が制作されている。レイルナーとパターソンは、名前という文字情報を一定の秩序のもとに配列し、ディベッツとジーグラーは、建物の情報を集積し、ダイオンはベルギーの都市アントワープと鳥の関わりを調査し、意味を発生させようとする。鳥のように飛ぶことを夢見るパナマレンコは、人工の鳥を作ろうとする。

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