会期:2003年12月4日~2004年 1月28日
1960年代の初め頃より建築家として活躍を続ける川崎清(1932年新潟県生まれ)は、長年にわたり数多くの重要なプロジェクトを手がけてきた。特に、 1970年に開催された日本万国博覧会では、お祭り広場の正面に位置する万国博美術館(現・国立国際美術館)を設計し、階段状に構築された自然光を調整するためのガラスのルーバーや、ピンポイントで支えられた全面ガラスの壁画など、画期的なアイデアを駆使して注目を集めた。
国立国際美術館は2004年に大阪市内へ移転し、万博公園内建物使用は本展をもって終了する。そこで、本展では川崎清のこれまでの業績に焦点を当てながら、とりわけ彼の美術館・博物館建築(国立国際美術館/栃木県立美術館/京都市美術館収蔵庫/相国寺承天閣美術館/京都大学博物館)に対する姿勢、思想を探り、合わせて近年のプロジェクト(みやこめっせ、栗東芸術文化会館、鳥取環境大学等)についても紹介した。
二階展示場のみを用いた展示であったが、仕切りの壁を最低限とし、広々とした展示空間そのものが出品作品の一部と見なされる本展においては、通常は意識されづらい美術館建築自体に目を向けるという貴重な機会がもたらされ、また環境との調和や開かれた美術館としてのあり方など、今後の方向性についての重要な示唆も得られた。
※「川崎清」の「崎」は、正確には山へんに立・可