会期:2002年11月7日~12月17日
畠山直哉は、1958年岩手県陸前高田市に生まれ、84年筑波大学大学院芸術研究科修士課程を修了、同大学で大辻清司に写真を学んだ。
筑波学園都市周辺の風景や物体を撮った白黒写真を出発点に、1986年からは日本各地の石灰石の鉱山やセメント工場に取材したカラー写真の連作に着手、近年は東京・渋谷の地下水路や高層アパートの夜の外灯、石灰石鉱山の発破の瞬間など、都市と自然との関係を多角的にとらえた写真群によって国際的に知られている。
1997年には写真集《ライム・ワークス》と写真展《都市のマケット》により第22回木村伊兵衛賞、2001年には写真集《アンダーグラウンド》により第42回毎日芸術賞を受賞した。また、同年第49回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館に出品、さらに2002年はイギリス、ドイツでも個展を開催するなど、現在最も目が離せない写真家である。
今回は、その独特の光と雰囲気に満ちた世界を、近年の主な連作を中心に、初期作品や2001年にイギリスで制作された新作を加えた80点の写真によって紹介した。
3階展示場のみを使用した展示であったが、畠山直哉の過去20年の仕事を簡潔に過不足なく見てもらうことができた。写真に関心のある層、とりわけ若い世代の来場が目立った。