会期:2000年9月14日~10月22日
関西を拠点に、多彩な表現活動を行っている美術家北辻良央の創作活動を紹介した展覧会。
北辻良央は、1948年大阪府羽曳野市生まれ。多摩美術大学在学中の1969年頃より本格的な制作活動を開始し、当時のコンセプチュアル・アートや、日本の概念芸術、あるいは「もの派」などの動向を広く視野に入れながら、独自のコンセプトに基づく作品を発表し注目を集めた。
1980年代に入ると、初期の概念性の強い平面作品を中心とした仕事に対し、立体作品の制作が大きな変化として現れる。鉄や石、粘土や木、ガラスといった多様な素材を駆使した、想像力溢れる作品が生み出されていった。
このように多様な手法、素材による表現の裏には、一貫して作品の創作過程そのものに対する、作者の強い関心と意識的な操作が現れているといえよう。
今回の展覧会では、1980年代後半から新作にいたるまで、北辻の主に立体作品を展示することによって、彼の近年の造形の特徴を浮かびあがらせることを企図した。
展覧会場には、3階2階展示室に加え、エントランスにもインスタレーションを配置するなど、広い空間を使いながら、あたかも森の中を散策するように作品に触れてもらえるよう工夫を凝らし、また会期中には作家を招いて講演会も開催するなど現代美術の普及にも努めた。