会期:2000年8月26日~9月30日
国際交流の一環として、2000年2月から3月にかけて当館で近作展を開催した小林孝亘(1960−)の絵画作品をタイのバンコク大学アートギャラリーで紹介した。すでに96年から97年にかけて文化庁芸術家在外研修員としてバンコクに1年滞在した経験のある小林孝亘は、99年から再度バンコクにわたり、現在も制作を続けている。
本展は、近作展以後にバンコクで描かれた新作17点によって構成された。展覧会全体の題名は「熱の雫」で、バンコク名物の交通渋滞で必ず目にする車のテールライトを描いた作品を中心に、行きつけの屋台でいつも足下に寄ってくる猫やショーケース、それに森を描いた大作等が発表された。当館での発表以後、小林孝亘が以前から暖めていたテーマが新しい展開をみせたものとして注目された。
会場となったバンコク大学アートギャラリーは、大学内の展示スペースで、それほど広い空間ではないものの、在学生や留学生の発表の場として有効に活用されている。今展は、同大学と当館の共催となり、オープニングには大使館、国際交流基金から代表者が同席、バンコク在住のアーティストや美術関係者などが多数参加し、意義のある交流の場となった。こうした日本の作り手の作品を紹介する国際交流展の開催は、作者本人を支援するのみならず日本の美術のあり様を国際的に知らせていくためにも重要である。