会期:2001年 1月13日~4月8日
「世界四大文明 エジプト文明展」は、NHK大阪放送局との共催展であり、平成12年の夏に東京と横浜の四つの博物館・美術館で同時に開催された「世界四大文明展」の全国巡回展の一つである。
ナイル河の上流からもたらされる河水と肥沃な土壌により、紀元前3000年頃、エジプトでは農耕文化の開花とともに、偉大な文明が形成された。巨大なピラミッドや壮麗な神殿が数多く造られ、それらは栄華を誇った古代エジプト文明の遺産として今も残されている。神殿や墳墓には、色鮮やかな絵画やレリーフ、彫刻や道具などが数多く副葬された。それらから古代エジプト人の生活や精神世界を垣間見ることができる。
本展には、エジプト考古庁との交流によって実現した協力関係により、カイロ博物館から貴重な所蔵品75点が出品された。中でも《プスセンネスⅠ世の黄金のマスク》は第21代王朝3代目の王プスセンネスⅠ世のミイラが被っていたもので、ツタンカーメン王のマスクに次ぐものとして評価の高いものである。
古代エジプト文明は、美術あるいは文化の原点の一つであり、その精緻な技巧や独特な表現方法は近代以降の美術にも多大な影響を与えていると同時に、人類の英知、文明の在り方を探るうえで重要な研究対象でもある。21世紀を迎えるにあたり、カイロ博物館の秘宝に触れ、改めて数千年にも及ぶエジプト文明の歴史を振り返ることで、人類にとって「文明」「文化」とは何かを問いただす貴重な機会となった。
本展では、観覧者の理解を助けるために多種多様な解説パネルを設置するだけでなく、各コーナーごとにハイビジョン映像による解説を上映した。同時に主要展示物を解説する音声ガイドも実施した。また、コンピュータ端末による展示物検索コーナーを設け、観覧者のより深い理解の助けとした。