会期:1999年7月22日~8月31日
福田美蘭(1963−)はデビュー当初から、絵画という制度の構造、あるいは作品を見るという行為の意味を検証・追及する作品を精力的に発表してきた。その際一貫して注目してきたことは、現代における絵画体験とはそのほとんどが印刷物などの複製メディアを通してであるという現実だった。彼女は自らの作品に泰西名画の図版から得たイメージを用いたり、印刷技術や写真、コンピューターといった複製メディアを使用することで、絵画の制度を批評すると同時に、現代の高度情報化社会そのものに対して鋭い批評の目を向けてきた。
本展は、第1部回顧セクションと第2部新作セクションから成り、第1部では1980年代半ばから今日までの作品約100点を、第2部では印刷や複製画などのいわゆる複製メディア、あるいは「版」の概念を手法/素材/主題として作品に取り入れた新作約20数点を展示し、福田美蘭の全容を紹介した。