美術家の冒険 多面化する表現と手法

会期:1996年9月5日~11月24日

今日、美術作品は驚くべき広がりを見せています。たとえば、絵画、彫刻など、昔からのジャンルでは、たえず新しい試みが繰り返され、その枠組みが見直されてきました。近年では、写真や映像による表現が急速に進展し、美術において重要な位置を占めてきています。そしてそれと呼応して、作品をつくる制作者自身も多様化しています。画家、彫刻家など制作者をさす従来からの呼び方ではしっくりとこない人が、優れた活動をしているという事実に、制作者の変化が象徴的かつ端的に表われています。
本展では、そうした制作者のうち、表現手段や作風を頻繁に変えたり、同時並行的に用いたりする人たちを取り上げました。もちろん、複数の表現手段を持っていたり、作風を変えることそれ自体は現代の制作者に限ったことではありません。たとえば、作風を変えることは、時の流れにしたがって、制作者ならば誰にでも起こることでした。しかし今日の多面的な制作者は、昔のそれとは異なっています。あらゆる選択の自由を背景にしていて、一見、捉らえどころがないようでありながら、実際は、自己の関心や目的を明確に持ち続ける、しなやかな人たちです。この展覧会では、そうした「美術家」とでも呼ぶしかないような制作者 6名と1グループの多面的な活動を紹介し、その活動の根底にあるもの探ってみました。
出品作家は、大森裕美子、岡崎乾二郎、土佐尚子、三輪美津子、柳幸典、和田千秋、アイデアル・コピー。

  • 入場者:総数10,677人(1日平均150人)
  • 主催:国立国際美術館
  • 協賛:ダイキン工業現代美術振興財団
  • 協力:(株)堀内カラー/(株)ATR知能映像通信研究所/日本シリコングラフィックス(株)/伊藤忠テクノサイエンス(株)/(株)富士通研究所
  • 講演会:「アイデアル・コピーの仕事」日時:09/14(土)講師−熊倉敬聡(慶応義塾大学助教授)
    「デジタル・ヌーベルバーグ」日時:09月28日(土)講師−土佐尚子
    「自作を語る」日時:10月26日(土)講師−岡崎乾二郎
  • カタログ:「美術家の冒険」
    25.7×18.6cm/142ページ/カラー138点
    美術家の展覧会(中西博之)/出品作品リスト/略歴
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