会期:1994年7月14日~8月28日
木村忠太(1917−1987)は香川県高松市に生まれ、若くして画家を志して上京し、その重厚で堅実な画風により早くから注目を集めた。しかし、やがて日本的な油絵の限界を深刻に意識するようになり、1953年に渡仏、パリに居を定めた。以後三十年以上にわたって、ただ一度をのぞいては帰国することもなく、ひたすら制作に打ち込み、独自の境地を切り開いた。すでに過去のものとされていた印象主義の光の要素をあらためて根底から追求し、自然と画家との内面的かつ親密な交感の場として光をとらえ直したところにその本質がある。 本展は、木村忠太が自らの制作原理を見出した1960年代から最晩年までの油彩87点、パステル・素描46点によって構成された。