会期:1993年7月10日~8月7日
国際交流展の第2回展。本来ならば近作展を先に開催したのち、それを国外の美術館で展示、紹介して、交流を深めるのが、国際交流展の趣旨である。が、今回は、オリエル・モスティンの館長スーザン・ダニエルの強い希望により、近作展は後にして、同館での開催が先行することとなった。
選ばれたのは、特異なインスタレーションを作る内藤礼。出品作品は、1991年に佐賀町エキジビット・スペース(東京)で発表した「地上にひとつの場所を」である。ネルを素材にした巨大な楕円形のテントをしつらえ、そのなかに竹ひご、針金、種子、ガラスなど多様な素材によって作った小さなオブジェ群を独特の光に包んで見せる作品。内藤の要望で、作品の鑑賞方法は観客がひとりずつしか中に入れない、時間制限(ひとり約8分)付きということになった。展覧会の反応はまずまずで、ミステリアスであるとか、不思議な休験の場であったとか、日本の美術に対する先入観はなく、同時代の表現として抵抗なく受け入れられたようである。