会期:1991年10月10日~12月1日
日本の1950年代末から1960年代にかけて、伝統的な芸術の概念を根底的にくつがえす新しい試みが敢行され、一般に「反芸術」の名で呼ばれた。当時の世界的な動向に呼応する動きでもあったが、伝統的な芸術が担ってきた枠組みの狭さを問い直し、現実の生活や社会へ芸術を解放してゆくことが意図されたのである。
「反芸術」は、既成の芸術概念からの自由を主張したが、それは必然的にすべては芸術であり得る(「汎芸術」)という可能性を開いたことも無視できない。そこから直接的な行為によるハプニングなども生まれたが、他方オブジェなどの激しい破壊的、否定的な手法とともに、具象的なイメージの使用もめだち、芸術作品が日常や社会に向けてより直接的なメッセージを伝えうる可能性の探求もなされた。
本展では、読売アンデパンダン展で活躍した作家たち、ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズやハイ・レッド・センターの作家たちの作品を中心に、「反芸術」が切り開いた地平とその精神をあとづけながら、それがなお現在生きているのかどうかを探ってみた。