会期:1990年 3月9日~3月20日
本展では、国立国際美術館の所蔵品のなかから人間を表現した36作家125人を選んだ。いうまでもなく、人間による人間の表現は、美術の中でもっとも基本的で本質的なモチーフである。先史時代の美術に現れて以来、<人のかたち>は神の姿として、また美の理想を託したものとして、さらには権力者の肖像、近代になっては市民の肖像として、つねに美術の歴史の中心に登場し続けてきた。
現代美術もまた、その例外ではない。戦後社会のめまぐるしい変化に則しつつ、<人のかたち>は実に多様な展開をしてきた。絵画では、裸身を描く洒脱な筆遣い、童画を思わせる自由な表現、エアブラシの技法によるあたかも写真のような描写、通俗的なポートレート写真をそのままシルクスクリーンの版画に転用したものなど、我々の時代の感受性を端的に反映した世界をそこに見ることができる。彫刻でも、重厚なブロンズ像から、プラスチック、アルミニウムなど、いかにも現代的な素材を駆使した作品まで、多彩な表現が繰り広げられている。
なお、本展は、国立国際美術館による二回目の「館外展」で、会場には、前年に引き続き、近鉄アート館を使用した。