会期:1987年5月16日~6月30日
井上武吉は奈良県室生に生まれ、戦後、彫刻を制作し、「昆虫」シリーズで注目をあびた。社会と人間の状況を比喩に託したこれら初期の作品は、1967年の「慰霊の泉」制作の頃から転機をむかえ、作品を包む環境空間の設計へと、彫刻概念の変容がおこなわれた。彫刻の森美術館や池田20世紀美術館の設計は、その成果といえる。1974年の西ベルリン滞在の経験により、彫刻をめぐる空間の追求はいっそう大きな展開を見せ、今日の「my sky hole」シリーズへとうけつがれた。本展では、4階、3階、2階の会場を使用し、立体作品6点と新作のデッサン20点を紹介した。また当館に先だち、この共同企画展は三重県立美術館で開催された。