新収蔵作品展<昭和57・58年度>

会期:1984年 3月15日~ 5月6日

本展では、当館が世界の現代美術を中心に昭和57・58年度に収集した絵画、素描、彫刻、写真など34作家140点の作品を初めて一堂に公開し、当館の過去2ヵ年にわたる収集活動の実績を紹介した。「佐伯祐三からクリストまで」というキャッチフレーズからもわかるように、現代美術の表現の多様さををあらためて強く印象づける展観であった。
今回、当館のコレクションに加えられた作品のうち、エコール・ド・パリの花形として活躍した藤田嗣治の「横たわる裸婦(夢)」、若くしてパリに客死した佐伯祐三の「バーの入口」、戦後の再渡仏以来パリで銅版画の制作にはげんできた浜口陽三のエッチングやメゾチント37点、ニューヨークで活躍する河原温の「デイト・ペインティング」、近藤竜男の「三本の斜めのストライプ:青、8/J-4」、中川直人の「反射のある静物Ⅲ」、古川吉重の「L-47-81」、イタリアの前衛美術運動に積極的に参加しているミラノ在住の彫刻家、長沢英俊の「井戸」などは、戦前、戦後を通じて海外で制作する数多くの日本人作家の活躍の一端を紹介するものである。
また、「梱包の芸術家」として世界的に有名なクリストのドローイング7点、人体から直接型取りした石膏像で知られるジョージ・シーガルの「煉瓦の壁」、シアトル在住の日系作家ポール・堀内の「変化する青Ⅰ」、イギリスの代表的ポップ・アーティスト、デイヴィッド・ホックニーの版画集「ブルー・ギター」、同じくイギリスの新進作家ブルース・マックレーンの大作「バレー、ブリのための習作Ⅰ」、ハミッシュ・フルトンの写真を用いた「サンライズ・シャドー」、「ノー・ダークネス」、1960年代半ばにフランスでおこった絵画運動シュポール・シュルファス(支持体・表面)の代表的作家、クロード・ヴィアラの「無題」とジャン=ピエール・パンスマンの「柵」、清川泰次の抽象作品「ペインティングNo.1181-B」、独自のフォト・リアリズム手法で知られる鴫剛の「無題D」などの他、昭和57・58年に開催された各種のコンクール展で国際美術館賞を受賞した作品、偸太人々の「テリトリー(2)」(第14回日本国際美術展)、四宮金一の「ルーム(15)椅子なき静座」(第5回ジャパン・エンバ美術コンクール)、高原洋一の「土の上の形態83・1」(第16回現代日本美術展)、山口牧生の「15°」(第8回神戸須摩離宮公園現代彫刻展)などもあり、日本を初めとするアメリカ、イギリス、フランス各国の多彩な現代美術の動向を伝えてアクチュアルな展示内容となった。
また当館では、今後写真の分野でも収集を進めていく方針で、今回コレクションに加えた戦前の日・米・仏の代表的写真家、小石清、ウォーカー・エヴァンス、ルイス・W・ハイン、ロベール・ドマシーの写真20点も併せて展示された。会場構成としては、4階を主に日本人作家の作品展示にあて、3階には外国人作家の作品を国別にまとめて展示した。

  • 入場者:総数8,963人(1日平均195人)
  • 主催:国立国際美術館
  • パンフレット:25.6×18.1cm/4ページ/白黒34点
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