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ちっちゃなこどもびじゅつあー

ちっちゃなこどもびじゅつあー 〜絵本もいっしょに〜

2023年3月22日(水)

3月22日に「ちっちゃなこどもびじゅつあー 〜絵本もいっしょに〜」を開催しました。

新型コロナウイルス感染拡大防止のための対策も緩和されたためか、回によっては定員の8倍もの方にご応募いただきました。ご応募いただいたみなさまありがとうございました。その中から抽選により、14組31名にご参加いただき、同日に3回開催しました。本レポートでは、3回のプログラム中の参加者の様子を比較しながらお伝えしたいと思います。(※)

前回に続き今回も、メル・ボックナー作品にあわせて、「美術と絵本を考える会」のみなさんに「数」をテーマに選書していただいた絵本の中から、『ハンダのびっくりプレゼント』(アイリーン・ブラウン/作、福本友美子/訳、光村教育図書、2006年)、『1はゴリラ かずのほん』(アンソニー・ブラウン/作、さくまゆみこ/訳、岩波書店、2013年)、そして鑑賞後の振り返りで『1わのおんどり コケコッコー』(イリーナ・ザトゥロフスカヤ/作、こじまひろこ/訳、福音館書店、2014年)の絵本よみをしました。

一日に3回開催する本プログラムですが、同じプログラム内容であっても各回の参加者によってプログラムの雰囲気が異なります。

プログラム冒頭の講堂での様子として、1回目では、子どもたちの動きが活発で絵本よみやスライドでの作品紹介の間もなかなか集中できない様子が見られました。当日のキャンセルにより定員よりも少ない人数での開催となった2回目は、子どもたちもとても落ち着いていて、保護者もリラックスしている姿が印象的でした。キャンセルもなく一番たくさんの方にご参加いただいた3回目は、参加している子どもの年齢に差があったものの、お話しする子どもの発言をたくさん聞くことができ作品鑑賞前のよいウォーミングアップができたようでした。こうした、プログラム冒頭の雰囲気が展示室での活動にも影響してきます。

展示室では、なるべく1組につき1人のスタッフがサポートするようにしていますが、1回目では、展示室でも子どもの動きが活発だったので、子どもの見守りに保護者の意識が集中したため、保護者自身がなかなか作品を楽しむことができない様子でした。それでも、展示室を進むにつれて、これまでお話しすることのなかった子どもが荒川修作の作品に描かれる線などを見て「電車!」と自分の好きなものと作品を結び付けて楽しむ姿に保護者が驚きを感じている姿や、お話はしないものの他の作品よりも集中して、ジョアン・ミロ《無垢の笑い》(1969年)を目で追う子どもの姿を見て保護者が安心する様子が伺えました。一方、子どもたちが講堂での時間から落ち着いていた2回目では、メル・ボックナー作品の石を子どもと保護者が一緒に数えながら展示を楽しむ様子が見られ、鑑賞後の振り返りでは保護者から「(作者が)石からこんな発想をするとは思っていなかった」と、保護者自身も落ち着いて作品鑑賞を楽しめたからこその感想を聞くことができました。講堂でのスライドトークでも積極的にお話をしてくれていた3回目の参加者は、メル・ボックナー作品の石を数えながら、石の並びやその規則性を考える様子が見られ、より作品の本質に迫りながら作品を楽しんでいるようでした。振り返りでは、2歳ごろから1年に1回、本プログラムに参加し、来年度から小学生という子どもの保護者から「毎回作品が異なるので作品による子どもの変化はわからないが、年々作品に対する向き合い方が変わる一方で、好きなものは変わらないというこだわりがあることも感じた」と、何度も参加いただいたからこその貴重な気づきをを聞くことができました。

初めての美術館体験では、落ち着かなかったり、泣いてしまったり、プログラムの途中で眠ってしまったり、あるいはその逆で、保護者が驚くほど作品に集中したりと子どもたちの反応はそれぞれです。たとえどのような反応であっても、どのお子さんにとっても素敵な美術館、作品との出会いです。ぜひ、安心して美術館に遊びに来ていただければ、うれしいです。ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!またのご来館お待ちしています。[K.Y]

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2023年3月22日(水) 1)10:30〜11:50 2)13:15〜14:35 3)15:00〜16:20
対象:0歳~未就学の乳幼児とその保護者
定員:各回5組10名
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