国立国際美術館

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こどもびじゅつあー、びじゅつあー、だれでもびじゅつあー

2023年3月12日(日)

3月12日に「こどもびじゅつあー」、「びじゅつあー」、「だれでもびじゅつあー」を開催しました。今回は、計13組28名にご参加いただき、地下2階で開催している「コレクション2 特集展示:メル・ボックナー」を鑑賞しました。

いずれの回でも、最初に、展示室でこれから見る数点の作品をスクリーンに映し、スライドトークを講堂で行います。この鑑賞前のスライドトークは、コロナ禍において展示室でのギャラリートークが制限されていたため、それを補うために実施されてきましたが、実際に作品を見る前にそれぞれの気づきを話し、共有することでウォーミングアップとしての効果を発揮し、展示室にて落ち着いた状況でより深い鑑賞を促してくれることから、現在も同じスタイルで実施しています。

小学1年〜4年生とその保護者を対象としている「こどもびじゅつあー」では、スクリーンに映し出された《セオリー・オブ・スカルプチャー(カウンティング)》(1969-72年)を見てすぐに、「ピラミッドに見える」と並べられた石の様子を知っているものに例えて話してくれました。それぞれの作品で、石の数に注目できるようにスタッフから「何個の石があるかな?」と投げかけると、石を数えながら、「石が全て丸の中に入っている」、「石が5つずつまとめられている」と石を数えてみることによって、それぞれの作品に潜む規則性を見つけていきます。メル・ボックナー作品の鑑賞のポイントが数や数えることであると伝え、「どうしてこのように石が並んでいるのか、なぜだろうと思ってみてほしい」と促し、展示室へ向かいます。

展示室では、タブレットを子どもと保護者一組は一台、「だれでもびじゅつあー」に参加している大人は一人一台持って、メル・ボックナー作品の中で気になる作品を撮影しました。また、石の配置が示されている配置図が掲載されているワークシートを持ち、鑑賞した際の気づきを記入していきました。小学5年生〜中学3年生とその保護者を対象とした「びじゅつあー」の参加者は、鑑賞をはじめたばかりの時間帯はタブレットで気になる作品を撮影する様子が多く見られましたが、後半になると配置図と作品を見比べながら気づきを記入するようになったり、離れた位置に展示された、似たような石の並びの作品同士を見比べるために撮影した写真を用いるなど、それぞれの方法でツールを使いこなしつつ、まるで謎解きをするように集中して作品を鑑賞していました。

鑑賞を終えて、講堂に戻った後は撮影した作品や配置図をスクリーンに投影しながら、作品に対する気づきを共有しました。年齢を問わず参加できる「だれでもびじゅつあー」では、「ピタゴラスは学校で習った程度だが、視覚的にわかりやすかった」という感想や、数学が得意な参加者からは「面積の出し方や分割した個数で成り立っているものもあったが、連続した数、不連続の数にどんな公式があてはめられているのかわからない作品もあった。」と話し、作品を前に深く思考していたようでした。

数、そして数を数えることといった、誰にでもできることを作品のベースにしているにもかかわらず、それぞれの数にまつわる経験、知識や考え方でどのようにでも、受け取り方や答えが変わる本作は、鑑賞者から予想以上の対話を引き出し、参加者を虜にしていました。その証に後日、上述の数学が得意な参加者から「先日の謎が解けた!」とメールが届き、そこには解読したと思われる図が添付されていました。(残念ながら数学が得意ではないスタッフには理解できず…)

ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。メル・ボックナー《セオリー・オブ・スカルプチャー(カウンティング)&プライマー》(1969-73年)がこうして一堂に見られる機会は今回世界で初めてであり、今後なかなかチャンスがありません。気になる方はぜひ、また謎解きの続きを楽しみに来てください。[K.Y]

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2023年3月12日(日)
11:00〜12:00 こどもびじゅつあー 対象:小学1年〜4年生とその保護者 定員:5組10名
13:30〜14:30 びじゅつあー 対象:小学5年生〜中学3年生とその保護者 定員:5組10名
15:30〜16:30 だれでもびじゅつあー 対象:どなたでも 定員:10名
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