1月29日と30日に「オンラインこどもびじゅつあー」、「オンラインびじゅつあー」、「オンラインだれでもびじゅつあー」を開催しました。
全国的な寒波到来もあり、なかなか外出しにくい季節ということもあってか、多くの方にご応募いただきました。特に、いつも人気の「オンラインこどもびじゅつあー」は、1月30日に開催回数を増設して、実施しました。今回は、関西圏を中心に北は山形から11都府県、韓国からの参加もあり、28名の方にご参加いただきました。
当プログラムでは、オンラインでなければ一緒に作品を鑑賞する機会のない全国から集まった参加者との時間を楽しむことはもちろん、画面上であっても作品の細かいところまでたくさん見ることや、見たことや思ったこと等なんでも話すこと、そして他の人の話を聞くことを大切にしています。この大切にしていることを参加者と共有しつつ、今回は、2月4日開幕の「コレクション2 特集展示:メル・ボックナー」に展示する作品を一足早く鑑賞しました。コレクション展へ続くエスカレーターの写真で館内の様子を紹介し、メル・ボックナーの作品が登場すると参加者は驚きの表情を浮かべたり、思わず「ただの石?」とその疑問を口にしていました。
驚きの声が気負うことなく自然に聞こえてくるようになったところで、1作品目の中西夏之《韻》(1960年)を鑑賞しました。会場に展示されている様子からはじまり、作品画像、作品画像のクローズアップと参加者のペースに合わせて作品を見ていきます。「オンラインびじゅつあー」では、最初に、展示されている様子がわかる写真を見たときには、「壁にはっている蔦みたい」と発言した参加者が、作品だけ拡大された画像を見ると、「合戦している。周りが敵で、四面楚歌みたいになっている」と発言したことから、視点の変化を感じ取れました。
2作品目は同じ作家の別の作品として、中西夏之《コンパクト・オブジェ》(1962年)を鑑賞しました。「オンラインこどもびじゅつあー」では、本作品が画面に登場するなり「何だこれ?」「ガラス?」「ロープがある!」など、第一印象の素直な声があふれてきました。いずれの回もはじめは、作品の中にあるものが何かという話になりましたが、作品をよく見るうちに、「オンラインだれでもびじゅつあー」では、作品の表面に入ったひびと詰め込まれた時計から「タイムカプセルだと思った。ガラスがパカっと割れると時計がまた動き出すとか。そうするとその時代になったりする」と想像したり、詰め込まれた物の様子から「排他的、退廃的、廃れていく、何かを残すとか、悲しさとかわびしさといった感情を感じた」と、使い古されたものがぎゅうぎゅう詰めにされている、もののありように目を向け、作品を読み取っていこうとする姿も見られました。
次に、高松次郎《日本語の文字(この七つの文字)》(1970年)を紹介すると「オンラインこどもびじゅつあー」の参加者たちは瞬時に「この七つの文字って書いてある文字が7つだ!」と発言しました。子どもたちの柔軟な思考に感心しながら、「今日紹介した作品は作家さんの考えに触れる一つのきっかけ。色や形など見て美しいと思うようなものが中心となっている作品ではなく、みなさんの考えをたくさん引き出そうとしている作品かもしれないね」ということを伝えると、子どもたちは少し納得したような表情を浮かべていました。
最後に当館に恒久設置されている高松次郎《影》(1977年)を紹介し、プログラムを終了しました。今回のプログラムでは、オンラインでの鑑賞にはなかなかハードルの高いコンセプチュアル・アートに挑戦したこともあり、参加者の中には「もうちょっとわかりやすい作品がよかった。ピカソとか。日曜の夕方で、明日から仕事なので、もやもやする…」という意見もありましたが、その一方で「一人で見ているだけだと通り過ぎてしまう作品。今回色々な人の意見がそれぞれ違っていて、自分の考え方って幅が決まっていると感じた。」との感想を抱いた参加者もいました。
今回、自分の中にはない違う見方を発見した人、まだもやもやする…という人、ぜひ実際の作品たちを会場で鑑賞し、さまざまに考え続けてもらえれば嬉しいです。
オンラインによって全国からご参加いただいたみなさん、ありがとうございました![K.Y]
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2023年1月29日(日)
11:00~12:00 オンラインこどもびじゅつあー 対象:小学1年〜4年生
13:30~14:30 オンラインびじゅつあー 対象:小学5年生〜中学3年生
15:30~16:30 オンラインだれでもびじゅつあー 対象:どなたでも
2023年1月30日(月)
16:00~17:00 オンラインこどもびじゅつあー 対象:小学1年〜4年生
17:30~18:30 オンラインこどもびじゅつあー 対象:小学1年〜4年生
いずれも定員8名
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