第22回 中之島映像劇場 「映像のアルチザン―松川八洲雄の仕事―」
松川八洲雄(1931-2006)は、東京大学文学部美学美術史学科で仲間だった松本俊夫、藤原智子らとともに、1950年代後半に記録映画の世界に身を投じ、数多くのPR映画や産業映画、民俗芸能映画、さらには《鳥獣戯画》などのアート・ドキュメンタリーの先駆的な傑作を発表してきた人物です。「映像のアルチザン」を名のった松川は、スポンサーからの制約もある多種多様なテーマや素材の映像製作に取り組むなかで、通常のドキュメンタリーの手法に縛られない表現を模索し、国内外の映画祭などで評価を得る作品を創造していきました。また、代表作の一つである《不安な質問》のように、現代の都市における生存の条件を鋭く捉えた自主製作映画も手掛けています。松川八洲雄が演出した膨大な仕事の軌跡を遡ることは、かつてドキュメンタリーの担い手たちが開拓した、豊かな映像表現の可能性の地平を回顧することでもあります。
- 主催
- 国立国際美術館、国立映画アーカイブ
- 協賛
- ダイキン工業現代美術振興財団
- 開催日
- 2022年3月12日(土)・13日(日)
※新型コロナウイルス感染拡大予防のため、事前予約制、各プログラム先着50名で実施。
Aプログラム
- 《一粒の麦》(1962年)
- 《鳥獣戯画》(1966年)
- 《ヒロシマ・原爆の記録》(1970年)
Bプログラム
- 《仕事=重サ×距離―三菱長崎造船所からのレポート―》(1971年)
- 《土くれ―木内克の芸術―》(1972年)
- 終了後・アフタートーク:大野松雄(音響デザイナー)
Cプログラム
- 《飛鳥を造る》(1976年)
- 《ムカシが来た―横浜市長屋門公園古民家復元の記録―》(1993年)
Dプログラム
- 《JAPAN》(1973年)
Eプログラム
- 《不安な質問》(1979年)
特別講演
- 「ドキュメンタリーの詩性に向かって NFAJ所蔵松川八洲雄資料を読む」講師:岡田秀則
(国立映画アーカイブ主任研究員)
Fプログラム
- 《民俗芸能の心 琵琶湖・長浜 曳山まつり》(1985年)
- 《民俗芸能の心 神々のふるさと・出雲神楽》(2002年)