会期:
2014年9月27日(土)~12月7日(日)
ジャン・フォートリエ(1898-1964)の日本で初めてとなる本格的な回顧展を開催いたします。
フォートリエはロンドンで美術教育を受け、第一次世界大戦から復員した後、写実的な画風から暗い色彩の抽象的な表現へと変化しながら、パリで作品発表を続けました。1930年代には一時制作から遠ざかりますが、第二次世界大戦が勃発すると再びパリにアトリエを構え、1943年にはドイツ軍の捜査から逃れるために友人の導きでパリ近郊へ逃れます。ここでフォートリエは連作「人質」の制作に取り組み始め、パリ解放後に発表しました。時代を反映した「人質」という主題のみならず、独自の手法で厚く塗り重ねられた絵肌とそこに描かれるきわめて抽象的な人物表現は、戦後のパリの美術界に大きな衝撃を与えました。以後、フォートリエは分厚い絵具の層を基盤とした美しく緊張感のある作品を生み出し、1960年にはヴェネチア・ビエンナーレで大賞を受賞しました。
本展では、油彩、素描、版画、彫刻など、さまざまな手段を通じて芸術を探究したフォートリエの仕事を、時代別にご紹介します。展示作品約100点のなかでも、代表作である連作「人質」からご紹介する絵画10点・彫刻2点はひとつのハイライトとなるでしょう。また、「人質」制作以後への重要な導きの糸となる貴重な戦前の作品をあわせてご覧いただくことで、フォートリエの知られざる全貌に迫ります。
ジャン・フォートリエ展 ギャラリートーク
講師:橋本 梓(国立国際美術館 主任研究員)
ジャン・フォートリエ展 シンポジウム
「フォートリエをひらく」
登壇者:岡田温司(京都大学大学院人間・環境学研究科 教授)、
山田由佳子(国立新美術館 研究員)
司 会:橋本 梓(国立国際美術館 主任研究員)
1.フォートリエを内側からひらく
国立新美術館研究員の山田由佳子さんに、「人質」以前のフォートリエ作品を中心にお話しいただきます。
この度の展覧会では、代表作「人質」シリーズに至るまでの貴重な初期作品をご覧いただくことが可能となりました。ナチスからのパリ解放後にフォートリエが発表した「人質」シリーズは、大胆な抽象化のプロセスと独特の絵肌、そしてパリ占領下で拷問に処された人質たちを想起させる衝撃的なモチーフを扱ったことでよく知られています。こうした「人質」シリーズを、これまで日本でまとめて観ることの叶わなかった初期作品とあわせてみることで、初期から後期へと至る画業の展開において、フォートリエのなかにどのような内的必然性があったのかを考えます。
2.フォートリエを外側からひらく
京都大学大学院人間・環境学研究科教授の岡田温司さんに、イタリアのアンフォルメルの動向を中心にお話しいただきます。
1952年にミシェル・タピエが著書『別の芸術』のなかで、フォートリエを「アンフォルメル」の源流として位置付けました。アンフォルメルとは、戦後のフランスを中心に展開した非具象的な絵画の動向を指す言葉として、タピエが名付けたものです。特に晩年、フォートリエはこのアンフォルメルという動向に自分が関連付けられることに抵抗を示しましたが、フォートリエの画業が戦後のヨーロッパにおいてさまざまな抽象表現を展開させるための、ひとつの大きな種となったことは疑いようもありません。フランスと近い関係にあったイタリアのアンフォルメルの動向から、フォートリエを逆照射します。
ジャン・フォートリエ展 記念講演会「フォートリエが変えたこと」
講師:山梨俊夫(国立国際美術館 館長)
ジャン・フォートリエ展 ギャラリートーク
講師:橋本 梓(国立国際美術館 主任研究員)
開館時間
午前10時~午後5時、金曜日は午後7時まで (入場は閉館の30分前まで)
休館日
月曜日(ただし、10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)、24日(月・休)は開館、10月14日(火)、11月4日(火)、25日(火)は休館)
観覧料
当日:一般1,400円/大学生1,000円/高校生700円
前売・一般1,200円/大学生 800円/高校生500円(前売販売終了)
団体:一般1,200円/大学生 800円/高校生500円