会期:
2013年1月19日(土)~3月24日(日)
コレクション 現代美術とテーマ
過去数十年の美術は、取り巻く環境と関わりをもちながら、伝統的な美術観に根ざすよりも、時代にふさわしい意義のあるテーマを巡って展開してきたのではないでしょうか。このコレクション展では、そういう現代美術の見方に基づいて、日常生活、流用と影響、色彩、偶然、文字、状況の6つの視点から、所蔵作品を紹介します。
1.日常生活
美術作品を制作するうえで、日常生活との関わりが、第二次世界大戦後、特に1990年代以降に高まった。日常に取材した新手法による作品だけでなく、日常のありように着目した作品が登場するなど、今日では、日常生活が鍵となっている。
2.流用と影響
1980年代をピークとして、多くの制作者が、他の制作者による作品のイメージを「盗み」、利用してきた。以降、現在までの作品では、過去の作品との関係が多種多様となり、過去の作品からの「影響」の範疇を超えた関係をもつ。
3.色彩
視覚芸術において色彩は、近代以降、主要なテーマとなった。造形上の研究対象であるに留まらない。現代では、既製品の色彩にも留意される。色彩は、美的のみならず、文化的・社会的な意味をも担い、作品にとって特別な要素となっている。
4.偶然
表現主義やシュールレアリスムなど、20世紀初頭の美術にまでさかのぼれる、ランダムな現象の作品への導入が、今日の美術において、再び鍵となっている。制作者の作為によるのではない、予測不可能な現象に、リアリティーが見いだされている。
5.文字
視覚芸術における文字の使用が、20世紀、決定的な発展を示した。キュビスムにおける文字の使用や、デュシャンの思考優先の仕事に始まり、1960・70年代に概念的な様々な試みがなされた。文字の美術作品への導入は、テーマであり続けている。
6.状況
作品にまつわる時間や空間が、1960年代以降の美術において、クローズアップされる。場所の性質や、行為と場所の関係性に加えて、制作者・鑑賞者など人の役割も、今日、美術作品の制作と発表の鍵となっている。
ゲルハルト・リヒター ≪抽象絵画(648-1)≫
1987年 国立国際美術館蔵
開館時間
午前10時~午後5時、金曜日は午後7時まで (入館は閉館の30分前まで)
休館日
毎週月曜日(ただし2月11日(月・祝)は開館、2月12日(火)は休館)
観覧料
当日:一般420円/大学生130円
団体:一般210円/大学生 70円