<私>の解体へ:柏原えつとむの場合

会期: 2012年7月7日(土)~9月30日(日)

国立国際美術館では、企画展「<私>の解体へ:柏原えつとむの場合」を開催致します。本展は、京都在住の美術作家柏原えつとむの待望の個展です。代表作でありながら今日知られざる1970年代の異色作がまとめて展示される初の機会となります。

【柏原えつとむとは】
1941年神戸に生まれ多摩美術大学で絵画を学んだ柏原えつとむは、60年代後半より平面作品や、ひいては芸術そのものの基盤を問う作品を発表してきました。1970年代には「概念派」あるいは「非物質」の作家として注目されましたが、そういった批評言語からは慎重に距離をおき、時代の動向に左右されることのない堅固な歩みを続けています。昨年、20年以上にわたり教鞭を執った京都精華大学教授の職を退官し、その新たな一歩が注目されています。

【出品作品について】
小泉博夫・前川欣三と協働した《Mr.Xとは何か?》(1968~69年)は、架空の作者Mr.Xを捏造し、彼からの指示を三名別々に遂行したものを持ち寄り、複数の展覧会に渡って発表していく他に類のないプロジェクトで、その後の柏原の仕事を語る上で欠くことのできないものです。また、協力者に日用品を持ちよって展示してもらうことで、展示作品と作者柏原との関係をできるだけ遠ざけようとした《展》(1970年~)、マリリン・モンローの肖像を原図として、トレース、カット、スケッチなどの作業を展開していくことで、イメージが作者の想定を超えて次々に展開していく《方法のモンロー》(1973年)、シンプルな立方体の箱をモチーフとすることで、「モンロー」の思考をより還元的に作品化した《未熟な箱たち》(1974~75年)を含めた四作品が、1970年代の柏原の核をなす一連の仕事として本展で一堂に会します。さらに、柏原が1972年に美術手帖に発表したテキストを用いた《おわらないから... くりかえすのだ...》(1972~99年)を加え、計五点が出品されます。また、アート・ドキュメンタリストの安齊重男と協働した記録写真も特別出品として展示します。

【みどころ】
本展は、こうした70年代の代表作によって、柏原の仕事の本質を現代に問い直す試みです。作者と作品が切り結ぶ関係に常に注意を払い、それを成立させる芸術の基盤を問い直し続ける柏原の問題意識は、今なお有効な批評性を携えているからです。また今日の芸術を逆照射しうる、1970年代という豊かな時代の鉱脈へと目を向けることも本展の狙いです。会期中には、柏原が70年代に制作した貴重な8mmフィルムによる実験的作品の上映会も合わせて行います。今回出品される作品は、いずれも複雑な展示構成と規模の大きさの故に、これまで展示の機会が限られてきました。作者自身の手で展示が行われるまたとない機会を是非お見逃しのないよう、ご高覧頂けましたら幸いです。

  • 主催:国立国際美術館
  • 協賛:財団法人ダイキン工業現代美術振興財団
  • 助成:公益財団法人ポーラ美術振興財団

展示作品

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柏原えつとむ・小泉博夫・前川欣三 Mr.Xとは何か?[部分] 1968-69年
千葉市美術館蔵 Photo: nomadic studio

柏原えつとむ・小泉博夫・前川欣三 Mr.Xとは何か?[部分] 1968-69年
千葉市美術館蔵 Photo: nomadic studio

柏原えつとむ・小泉博夫・前川欣三 Mr.Xとは何か?[部分] 1968-69年
千葉市美術館蔵 Photo: nomadic studio

柏原えつとむ 方法のモンロー[部分] 1972-75年
東京都現代美術館蔵

柏原えつとむ 方法のモンロー[部分] 1972-75年
東京都現代美術館蔵

柏原えつとむ 方法のモンロー[部分] 1972-75年
  東京都現代美術館での展示風景

関連イベント

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開館時間

午前10時~午後5時、金曜日は午後7時まで (入館は閉館の30分前まで)

休館日

毎週月曜日(ただし7月16日(月・祝)・9月17日(月・祝)は開館、7月17日(火)、9月18日(火)は休館)

観覧料

当日:一般420円/大学生130円
団体:一般210円/大学生 70円

  • ※団体は20名以上
  • ※高校生以下ならびに18歳未満、65歳以上、心身に障害のある方とその付添者1名。
    いずれの方も無料 (ただし、証明できるものをご提示いただく場合があります)。
  • ※本料金で「コレクション展」もご覧いただけます。
  • 無料観覧日:7月7日(土)・8月4日(土)・9月1日(土)
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