会期:
2006年10月3日~12月24日
1990 年代は、美術の歴史上、大きな転換期でした。例えば、戦後の美術界を支配してきたアメリカ主導の美術観が、再検討を迫られました。世界各地のグローバル化した都市では、美術をめぐる環境が激変しました。デジタル技術の成熟によって、多くのアーティストが映像作品を手がけるようにもなりました。いくつもの要因が重なって、90年以降の美術は、新しいものを根源的な次元から創造する自由を享受してきたのです。
美術のなかでも最も歴史があり、常に関心の的であり続けてきた絵画においては、90年代、ヨーロッパとアメリカの画家たちが、斬新な絵画によって注目を浴びました。過去の絵画を消化しつつ、今日的な美と意義を持ち合わせたそれらの絵画は、各々が独自性に富んでおり、決してひとつの絵画観に基づいているわけではありません。しかしいずれも、現代の感性や価値観に根ざし、前衛に対するこだわりからは解放されています。またそのほとんどが、新鮮な具象的絵画である点も特徴的です。1990年以降の欧米の絵画は、絵を見る醍醐味をあらためて実感させてくれる絵画なのです。
本展は、90年頃から現在までに国際的舞台で脚光を浴び、ヨーロッパとアメリカの最前線で活躍している画家たちをまとめて紹介するものです。日本初紹介の画家も多く、グローバル化時代の絵画を知る、絶好の機会です。
出品画家
マンマ・アンダーソン(スウェーデン 1962-)、セシリー・ブラウン(イギリス 1969-)、ジョン・カリン(アメリカ 1962-)、ピーター・ドイグ(イギリス 1959-)、マルレーネ・デュマス(オランダ 1953-)、ベルナール・フリズ(フランス 1954-)、アレックス・カッツ(アメリカ 1927-)、ミッシェル・マジュリュス(ドイツ 1967-2002)、ローラ・オーエンズ(アメリカ 1970-)、エリザベス・ペイトン(アメリカ 1965-)、ネオ・ラオホ(ドイツ 1960-)、ヴィルヘルム・サスナル(ポーランド 1972-)リュック・タイマンス(ベルギー 1958-)
エッセンシャル・ペインティング アーティスト・トーク
出品作家によるアーティスト・トーク
エッセンシャル・ペインティング ギャラリートーク
(担当学芸員による作品解説)
エッセンシャル・ペインティング スライドトーク
(担当学芸員による講演会)
エッセンシャル・ペインティング 講演会
「キッチュの復権から流動的視覚体験へ:90年代-00年代具象絵画の変容」
講師:松井みどり(美術評論家)
開館時間
午前10時~午後5時、金曜日は午後7時(入館は閉館の30分前まで)
休館日
毎週月曜日 (ただし、10月9日[月・祝]は開館、10月10日[火]は休館)
観覧料
当日:一般830円/大学生450円/高校生250円
前売:一般700円/大学生350円/高校生200円
団体:一般560円/大学生250円/高校生130円