会期:
2006年6月27日~9月18日
国立国際美術館では、中之島へ移転する前の万博記念公園時代、現代美術のこれからを担う中堅・若手作家による「近作展」をたびたび開催しました。今回の三つの個展は、かつての「近作展」を三つ同時に開催するような企画になります。
年長の今村源(1957年生まれ)は、日用品に巧みに手を加えたオブジェを制作するとともに、近年はアルミニウムのパイプをつなげて浮遊感あふれる空間を作り出しています。須田悦弘(1969年生まれ)は、植物を精巧に造形した木彫で知られますが、作品を古美術と並べて見せたり、思いがけない場所に設置するなど、作品の置かれる空間との関係を慎重に吟味した仕事を繰り広げています。最も若い伊藤存(1971年生まれ)は、刺繍という手法を用いて特異な時空表現を生み出すと同時に、その糸から紡ぎ出される世界をアニメーション作品にも展開し、注目を集めています。
この三人は、いずれも一般的な意味での絵画や彫刻の約束事に縛られることのない、きわめて自由な世界を展開している美術家です。通常の企画展のように特定のテーマに基づいて選ばれたわけではありませんが、そのユニークな個性の偶然の出会いのなかに、どこか緩やかにつながる組み合わせの妙が感じられないでしょうか。
たとえば、須田悦弘の植物が葉や花の部分を鮮やかに形にしているとすれば、今村源の設置作品は、植物の茎や葉脈が成長し、増殖し、拡張する姿を想起させます。一方、伊藤存の刺繍は、あたかも普段は見えない植物の根のからまりをその裏面に隠す、不思議な質感の線描とも言えましょう。
地下三階の広い展示室を三分割して、新作と近作を中心に、それぞれの作品が有機的につながり、かつ互いに共鳴しあう展示空間を演出します。
須田悦弘《睡蓮》 2002年
アサヒビール大山崎山荘美術館蔵
© 須田悦弘
須田悦弘 《泰山木-花》 1999年
千葉市美術館蔵 © Yoshihiro Suda
今村源 《2002-11 イエ》 2002年
資生堂アートハウス蔵 © 桜井ただひさ 資生堂ギャラリーにて
伊藤存《草の骨》 2005年 作家蔵 © 市川靖
開館時間
午前10時~午後5時、金曜日は午後7時(入館は閉館の30分前まで)
休館日
毎週月曜日。ただし、7月17日(月・祝)と9月 18日(月・祝)は開館、7月18日(火)休館
観覧料
当日:一般830円/大学生450円/高校生250円
前売:一般700円/大学生350円/高校生200円
団体:一般560円/大学生250円/高校生130円