近作展26 ローリー・トビー・エディソン からだへの瞑想

会期:2001年8月2日~9月2日

ローリー・トビー・エディソンは1942年ニューヨーク生まれ、サンフランシスコ在住の写真家である。30代に入ってからフェミニズム運動と関わりはじめ、とりわけ1984年以降はファット・フェミニズム(肥満受容)運動を中心に活動を展開。太った女性をモチーフにしたモノクロームの彼女の写真は大きな話題を呼んだ。
女性の非現実的な体型が理想として意識的、無意識的に刷り込みが繰り返されており、このため、拒食症、過食症といった心の病を起こしてしまったり、という不幸な事例は後を絶たない。エディソンの写真は、「太った女性は美しい」というテーゼを掲げながら撮影された。ゆったりとくつろぎ、堂々とした女性達の姿からは彼女たちの勇気と威厳とが感じられ、人間としての「美しさ」が発せられる。
また『親しい男性』シリーズでも、やはりメディアに流通する理想的な男性ではなく、現実の身近な男性達がヌードで登場する。「男らしさ」という人工的な規範に縛られ、その虚構性自体に恐らく気づいていない男性たちが、職業などの社会的属性を示す衣服を脱いで、裸体のモデルとなった。
幼少期を第二次世界大戦後まもない時代に送ったエディソンの記憶には、戦後明らかにされ、メディアで盛んに報道された大量虐殺による犠牲者達のうず高く積み上げられた裸の屍体が焼き付いており、裸体への彼女のこだわりは、この記憶に由来するのかも知れない。彼女の写真は、知らず知らずのうちに固定された「見るもの−見られるもの」という支配的な関係を解体してみせる。
本展では、『大きな女性』シリーズから19点、2001年に完結したばかりの「親しい男性」シリーズから73点、2000年から開始された『日本の女性』シリーズから8点、計100点を、写真モデルによるコメントと共に紹介した。

  • 入場者:総数3,716人(1日平均133人)
  • 主催:国立国際美術館
  • 協賛:(財)ダイキン工業現代美術振興財団
  • ギャラリートーク(展示作品解説):日時:08/25(土)
  • ワークショップ:「からだをみよう、じぶんをみよう」日時:08/04(土)講師−ローリー・トビー・エディソン
  • パンフレット:「近作展26 ローリー・トビー・エディソン からだへの瞑想」
    29.7×21.3cm/10ページ/白黒41点
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