会期:1998年8月6日~9月27日
瀧口修造(1903−79)は、戦前・戦後を通じて活躍した詩人・美術評論家であり、特異なデッサンやデカルコマニーを数多く残した人である。とりわけシュルレアリスムを日本に紹介したひとりとして広く知られているが、同時代の目撃者として、詩、映画、美術、写真、音楽、建築、舞踏、生け花、書、デザインなどおよそ考えられるあらゆる表現分野にたえず好奇心の網の目をはりめぐらせた。
新聞・雑誌での活発な評論活動のみならず、読売アンデパンダン展や瀧口が人選と企画を任されたタケミヤ画廊を通じて出会った若い未知の新人たちを支援し、その精神的な支えとなる一方、ジョアン・ミロやサム・フランシスとの詩画集や『マルセル・デュシャン語録』を制作するなど、海外の芸術家とも親密に交流した。また、職業的に書くことに深い矛盾を感じはじめた1960年頃から盛んに描いた瀧口自身のデッサンやデカルコマニーの数々は、独自な表現としてあらためて見直されつつある。
本展では、こうした瀧口修造の多彩な活動の一端をその周辺にあった作家たち16名の作品約130点、瀧口自身の作品約50点、その他関連資科によって紹介した。出品作のおよそ半数は館蔵品であるが、他の美術館や個人所蔵の日頃なかなか見られない作品も加えて展示した。
出品作家:阿部展也(芳文)、荒川修作、池田龍雄、岡崎和郎、加納光於、菊畑茂久馬、草間彌生、工藤哲巳、瀧口修造、中西夏之、宮脇愛子、ジョゼフ・コーネル、マルセル・デュシャン、サム・フランシス、ジャスパー・ジョーンズ、アンリ・ミショー、ジョアン・ミロ