会期:1995年4月6日~5月21日
日本の建築と都市は、幕末まで完全木造主義できたが、まったく例外を許さない、という木造百パーセントの完璧さを考えるとき、これは単なる建築材料や自然条件の問題ではなく、文化の問題というほかない。つまり、それは深く日本人の死生観にかかわっているのである。
たとえば、西洋人の死生観が、精神と肉体の理想化を求めたのに対し、日本人の死生観は、精神と肉体の常若(とこわか)に最上の価値を置き、死後の世界には比較的冷淡であった。建築材料としての木にどれだけ問題があっても、日本人は木のもつ若々しさや生命力を愛し、いっぽう、石は耐久性にどれだけすぐれていても、死者の空間にしか使用してこなかったのである。
本展は、もう一度、生きた自然材料としての木を見直し、現代都市における木の可能性を追求するために企画された。
出品作家は16人と2グループ、出品点数は30点であった。