今日のオーストラリア美術展

会期:1988年5月28日~7月12日

この展覧会はオーストラリア建国200年祭(1988年がその年である)の一環として、同国の記念祭事務局と日本の4館の共催で開催されたものである。出品作家の選定には日本側が当たり、2度にわたる調査で今もっとも先鋭な活動をしている11名が選ばれた。
会場には3階、2階の展示場を使用し、作家ごとにあるまとまったスペースを確保した、いわば個展を連ねたような構成を試みた。展示空間そのものを作品に取り込んだいわゆるインスタレーションの作家が多く、この方法は効果的であったように思われる。また本展では英文でEdge to Edgeと題されていることに明らかなように、歴史的にも風土的にもまったく異質でありながらも、ともに西欧の辺境に位置し、その文化を一方的に受容してきた両国が、どのように交流を持ちうるかを考える場でもあった。そのために巡回する4館に全作家が別れて来日し、講演会やシンポジウムを開催したが、当館ではケン・アンスワース、マイク・パー、ジョン・ニクソンの3作家とカタログ・テキストの執筆者でもある評論家のブルース・アダムスが、折衷文化のポスト・モダニズム的な意味などを巡って興味深い議論を行った。

  • 入場者:総数4,887人(1日平均122人)
  • 主催:国立国際美術館/原美術館/名古屋市美術館/北海道立近代美術館/オーストラリア200年祭事務局
  • 後援:国際交流基金/豪日交流基金
  • カタログ:「今日のオーストラリア美術」
    24×21.5cm/88ページ/カラー22点、白黒19点
    今日のオーストラリア美術(ブルース・アダムス)/折衷的アイデンティティー、二十世紀末の日本とオーストラリア(ピーター・カラス)/引用の距離(建畠晢)
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