会期:
2019年5月25日(土)―8月4日(日)
20世紀最大の彫刻家であるジャコメッティの研究において、哲学者・矢内原伊作(1918-1989)の存在はとても大きなものです。矢内原は1956年から1961年の間に繰り返し渡仏し、そのモデルを務めました。しかし、矢内原をモデルとしたブロンズ彫刻のうち完成に至ったのは二作品のみで、すべての鋳造を合わせても七体しか現存が確認されていません。そのうちの一つが2018年に国立国際美術館のコレクションに加わり、日本では初の収蔵となります。当館では油彩による《男》(1956)を2013年に所蔵しており、「見えるものを見えるとおりに」表現するべく、ジャコメッティが人生を賭して取り組み続けた絵画と彫刻の両方を観ることができます。
本展では当館のコレクションに加え、矢内原に縁のあるジャコメッティ作品をお借りし、ジャコメッティと矢内原の世界に迫ります。また、モデルを務める間に書き留めた手帖に加えて、パリなどで撮影した写真を全公開致します。合わせて、ジャコメッティが生きた時代を中心に、絵画や彫刻による人物像の表現も所蔵品よりご紹介します。
アルベルト・ジャコメッティ《ヤナイハラ Ⅰ》1960-61年
国立国際美術館蔵 撮影:福永一夫
アルベルト・ジャコメッティ《男》1956年
国立国際美術館蔵
ギャラリー・トーク
講演会
講師:武田昭彦(美術評論家)
ジャコメッティのモデルとなった哲学者・矢内原伊作の教え子である武田氏は、ジャコメッティと矢内原に関連する書籍の編集・執筆に数多く携わりました。本講演では、矢内原直筆の手帖(本展示に出品)を長年にわたって調査・整理したご経験をもとにお話をいただきます。この手帖は『完本 ジャコメッティ手帖Ⅰ・Ⅱ』としてみすず書房より出版され、またフランスにおいては矢内原のエッセイ「ジャコメッティとともに」などをまとめた仏訳本2冊(アリア出版)の企画に携わり、ジャコメッティ研究の大きな前進を導きました。
上映会
「ジャコメッティ 最後の肖像」(2017年、イギリス、90分)
ギャラリー・トーク
〈プレミアムフライデー企画〉
開館時間
10:00 ─ 17:00、金曜・土曜は20時まで
※7・8月の金曜・土曜は21:00まで
※入場は閉館の30分前まで
休館日
月曜日(ただし、7月15日(月・祝)は開館し、翌日休館)
観覧料
一般430円(220円) 大学生130円(70円)
※( )内は20名以上の団体料金
※高校生以下・18歳未満・65歳以上無料(要証明)・心身に障がいのある方とその付添者1名無料(要証明)
※本展は同時開催の「抽象世界」の観覧券でご観覧いただけます。
夜間割引料金(対象時間:金曜・土曜の17:00以降)一般250円 大学生70円
無料観覧日 6月1日(土)、7月6日(土)、8月3日(土)